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2008-12-18 11:30
非正規雇傭問題への対応を誤る日本
森 浩晴
団体職員・大学講師
連日、メディアで非正規雇用問題が取り上げられています。事態は緊急な対応を要し、ミクロ的には大変な問題なのですが、政府の対応やメディアの報道ぶりは肝心の原因追及にまでは至っておりません。マクロ的にいえば、日本の現在の状況は1980年代の米国と似ています。80年代の『ニューズウィーク』誌を見れば、「大学出てもファーストフードの店員....等」の記事が出ています。
米国の政府やメディアは、この問題を産業構造の問題として捉えました。つまり、日本の台頭によって、米国は産業構造転換が不可避であると捉えたのです。そして、生産性の低い産業から、いかにして生産性の高い産業へ労働資源の配分を転換するか、との命題として取り組みました。米国は、80年代後半から、退役軍人や低所得者層の再教育に力を入れました。これが、米国の90年代の成長を支えたというのが、現在の一般的評価です。
現在の日本の状況も同じであり、非正規雇用者の低賃金労働でアジアの台頭に対抗しようとするのではなく、また個別企業のミクロの努力に依存するのでもなく、国を挙げて社会人再教育に取り組むべきだと考えます。残念ながら日本の政府やメディアには、マクロ経済が理解できる人材がまだまだ乏しいといえます。
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