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2009-02-06 08:03

迷走をつづける麻生発言の原因

杉浦正章  政治評論家
 マスコミは、首相・麻生太郎の発言が「ぶれる」と報じて、その原因を探ろうとしない。表面をなぜているだけだ。今回の郵政4社体制見直し発言で再び迷走したのはなぜかであるが、一にかかって民主党代表・小沢一郎にとられた特定郵便局長会の票を、少しでも取り返そうという“いじましさ”が発言の根底にある。しかしもう手遅れだろう。かっての自民党最大の集票マシンは、大半が民主党と国民新党に流れる。

 今回の麻生迷走発言は、予算委員会で郵政4社体制を「見直すべき時に来ている」と述べ、自民党から忠告が入ると、「郵政民営化委員会の諮問の答えを受け取るのが、わたしの立場だ。内容について、こうしろ、ああしろ、と言う立場にはない」と訂正したものだ。問題は、委員会で未練がましい発言が続いたことだ。「小泉総理の下で(民営化に)賛成ではなかった」「総務相だったが、民営化担当大臣は外された」と、“男らしくない”発言を続けた。なぜかと言うことだが、“秋波”を送ったのだ。

 明らかに狙いは、かっての自民党最大の集票マシンの票を、何とか一部でも奪回できないかという点にある。全国11万の全国特定郵便局長会(全特、中川茂会長)は、小泉郵政選挙で大半が自民党から離反した。これに目をつけた小沢は昨年7月、民主党が衆院選公約に郵政民営化の見直しを明記し、全特の応援を取り付けることに成功した。1月31日には全特の会合で、「政権を獲得できれば、ただちに日本郵政株の売却凍結法案を国会に提出し、見直しに着手する決意だ」と表明している。会合は、自民党に票が流れるのを防ぎ、民主党・国民新党への応援態勢を引き締める意味で開かれたようだ。全特会員の中には、かってのよしみで自民党議員から泣きつかれて、ぐらつき始めたものもいるようだ。

 これを横目で見た麻生には「何とか少しでも票を取り戻したい」という思いがあり、昨年11月には「株が下がっている時にしゃにむに売らなきゃいけないって、そんなあほな話はない」と述べ、日本郵政グループの政府保有株売却を凍結する考えを示して、物議を醸している。今回の発言も、その流れの中でのことであろう。しかし小沢が素早く手を打った後であり、事実上後の祭りだ。垂涎の最大の集票マシンが、自民党のために働くことはあり得ない。選挙戦略のみならず、選挙戦術においても、民主党の後手に回っていることを、自ら露呈してしまった一幕だった。
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