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2009-02-23 08:05

「与謝野選挙管理内閣」の実現度

杉浦正章  政治評論家
 大トラ財務相辞任劇で、一段と存在感が増したのが3大臣兼任となった与謝野馨。低級メディアは早くも「与謝野財務首相」とはやし立てているが、本格首相の可能性はあるのだろうか。「与謝野内閣」までもってゆくのは、ラクダを針の穴に通すほどの難しさがあるが、可能性が全くないわけではない。自民党内の一部ででささやかれるのは「与謝野選挙管理内閣」で、来年度予算案の一次補正予算を作成したうえで、野党との話し合い解散に持ち込むという説だ。12月に「与謝野選挙管理内閣」説を週刊朝日より一週間早く抜いたときは、「可能性0.5%」と書いたが、中川辞任直後には「3.4%」に“昇格”させた。ところがその後の盛り上がりを見ると「9.8%」位に昇格させても良い雰囲気になってきた。

 科学的数値より当たる小生の「直感数値」である。「ポスト麻生」と未曾有の金融危機という日本の政治にとっての「複合危機」を目の当たりにすると、財政も、金融も知らない女性候補や、タレント候補を自民党が担ぎ出したのでは、国民は「バカにするな」と怒り出すだろう。ここは、まじめそうな政治家に限る。そうなると与謝野が一番もっともらしい。2月23日付の日経世論調査でも、「今後の首相候補」では与謝野が急上昇している。前回2%が、今回は9%だ。まだ上昇を続けるだろう。それでは、与謝野に政権戦略があるとすれば、どのようなものであろうか。本人の2月22日のNHK番組での発言を注意深く聞くと、おぼろげながら輪郭が出てくる。与謝野はまず「使命を全うする」と述べている。「麻生政権が続く限り、与えられた仕事をする」と強調して見せた。

 これは裏を返せば、麻生政権が続かなくなったら(前回同様に総裁選前倒しがあれば)立候補するという意味にもとれる。現職閣僚がポスト麻生で「やる」などと言えるわけがない。この発言がぎりぎりだ。つぎにGDP年率マイナス12.7%を受けた来年度予算の一次補正について、「全く白紙」としながらも、「言論界、財界などからいろいろな声が出るのが大事」と述べるとともに、「その上で野党も含めて考えていくのが筋」と強調した。この発言は、背景を知っておく必要がある。自民党内には、責任政党として本予算の組み替えはとても無理だが、新事態に対応する一次補正だけは成立させて、選挙をすべきだという意見があり、これが「与謝野選挙管理内閣」説と絡んでささやかれるようになっている。

 ほうはいとして「一次補正やるべし」の世論がわき上がり、一方で麻生が予算成立後に政権を投げ出さざるを得なくなった場合に、「話し合い解散」を前提に一次補正を組み、早期に成立を図って解散・総選挙に突入するという段取りだ。「与謝野選挙管理内閣」は事実上一次補正だけを通すのが役目ということになる。恐らく与謝野はそこまで意識して、これまたぎりぎりの発言をしたのではないか。選挙に弱い与謝野個人としても、“首相”で選挙をやることは悪いことではない。「春の政局詰め将棋」をあえて読むと、こんな「解」がおぼろげながら見えてくる。しかしこの選択は、あくまで激動政局のワン・オブ・ゼム。与謝野の可能性はあくまで「9.8%」であり、それ以上でもそれ以下でもあるまい。麻生がごねるなどまだ曲折だらけだ。
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