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2009-04-16 07:58

自公、「解散時期」めぐり水面下で亀裂

杉浦正章  政治評論家
 都議選との重複を避けるため「5月解散」を狙っていた公明党が、補正予算案の成立を最優先させ、7月の都議選以降の解散へと大きくかじを切った。これは「小沢続投」問題の追い風を背景に、補正成立直後の解散を目指す自民党の戦略との食い違いを意味する。与党内の重要な思惑の相違を首相・麻生太郎がどう判断するか、が重要ポイントとなってきた。水面下では政局判断の亀裂とも言える状況がある。15日夜の麻生との会合で元財務相・伊吹文明は「太田さんの話をよく聞いてあげてほしい」と忠告した。これは同日の会合の中心的話題が、明らかに公明党の軌道修正にあることを物語っている。

 公明党代表の太田昭宏は14日夜、「6月は良くない」と述べ、7月12日投開票の都議選に近接する5月解散または会期末の6月3日解散に反対の考えを明らかにした。これを受けて幹事長北側一雄は、「補正予算案と関連法案も成立させないといけない」と補正だけではなく、重要法案の成立まで解散すべきではない、との姿勢を鮮明にした。補正予算案の見通しについては、与党が5月中旬の衆院通過を目指している。ささやかれる民主党との「話合い解散」が成立した場合でも、成立は同月下旬となる見通しで、解散は早くても6月初旬以降にずれ込む。7月8日のイタリア・マッダレーナ・サミット後の解散も現実味を帯びる。

 公明党が都議選との重複を嫌う最大のポイントは、大田の選挙事情にある。ダブル選挙となれば本来なら大田支持に向かう自民票が分散し、落選の危機となりうるからだ。同党は全国からの応援を東京に集められなくなることを理由としているが、そんなことは枝葉末節だ。その公明党の特殊事情によって、息絶え絶えの民主党代表・小沢一郎を叩く絶好のチャンスを失いたくない、のが自民党の思惑だろう。自民党の前副総裁総・山崎拓が「決断の時期を間違えてはいけない。選挙は6月初めまでが望ましい」と述べているのは、その辺の事情を物語る。

 麻生自身も、記者会見で野党の出方次第の解散に言及しており、明らかに今国会の解散もありうるとの判断だろう。しかし今国会中の解散となれば、野党の抵抗を受けての5月解散か、会期末の「6月3日解散・7月12日選挙」の選択か、会期を延長した上での解散か、の判断を迫られる。いったん会期を閉じて、8月か9月の臨時国会冒頭の解散は、民主党がリセットされて息を吹き返す可能性があり、自民党にとって愚の骨頂の選択だろう。ぎりぎりの判断を迫られた場合、恐らく麻生は、6対4で今国会中の解散を選択するだろうと思う。大田のことなど構っていられまい。
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