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2009-04-21 08:06

麻生、「解散」で公明独走に歯止め

杉浦正章  政治評論家
 水面下での自公綱引きが表舞台に浮上してきた。公明党の全党あげての「8月解散キャンペーン」に、首相・麻生太郎がストップをかけ、解散のフリーハンドを確保した、と言うのが4月20日の図式だ。自民党内では、なりふり構わぬ公明党の動きの背景には、創価学会名誉会長・池田大作の「都議選とのダブル選挙は回避せよ」との強い指示があるという見方がもっぱらだ。麻生にしてみれば、これから補正予算案を上げなければならないと言う時期に、解散カードを放棄するような対応が出来るわけがない。ここは常在戦場路線の維持しかないのである。

 とにかく、公明党幹部の動きは急だった。15日には何と首相官邸で代表・太田昭宏が麻生と秘密会談。同日夜には幹事長・北側一雄が麻生とやはり秘密会談。いずれの場でも解散の日取りで強い注文をつけた模様だ。この後一斉に北川らから8月解散説が流された。公明党が「小沢続投の活用」という与党にとって絶好のチャンスを、みすみす逃すような動きを見せている原因はどこにあるのだろうか。背景には池田の都議選に対する強い思い入れがあるようだ。学会が公明党を政権政党にまで育てたのは、都議選で政治に参入したのが発端であり、なにが何でも勝たねばならぬ、と言うのが至上命令となっているのだ。これに選挙に弱い太田の個人的な理由が絡んでいるのだ。公明党は22日の学会本部幹部会を前に麻生を押さえ込んでおこうという動きに出たのだ。

 この公明党の姿勢に対して自民党幹部は「公明党も与党として過半数を維持できなければ、都議選で勝っても意味はないだろう」と不快感をあらわにしている。こうした空気を受けて麻生は20日、巻き返しの動きを強めた。自民党の幹事長・細田博之、国対委員長・大島理森に補正予算の早期成立に全力を挙げるように指示した。大島は「首相はさまざまなことを考えるために、早期成立に非常にこだわって指示をした」と述べている。「さまざまのこと」とは解散にほかならない。麻生は記者団に北川の8月解散発言について、「全然聞いていませんので知りません」と不快な表情を見せた。次いで麻生は夜には選対委員長・古賀誠と会食したが、焦点は“公明党対策”に絞られた。古賀からは「首相の専権事項である解散で公明党に振り回されている」という不満の声が出され、結局、今国会解散も8月解散も選択肢の一つとして対応することになったようだ。

 おりから民主党代表・小沢一郎は辞任すべきとの世論を無視するかのように地方遊説という“賭”に出ており、世論の反発は必至だ。自民党内には「これを逃したらもうチャンスは遠のく」という見方も強まっている。麻生としては、公明党独走に歯止めをかけ、なおフリーハンドを確保しておこうというのが本音だろう。現段階で解散の日取りを決められるのは、週刊誌や三流評論家しかいない。
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