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2006-04-25 21:14

チェチェン問題が示すもの

大富亮  チェチェンニュース発行人
 1996年にチェチェンのヌハーエフ首相を招待されて以来、日本国際フォーラムがチェチェンへの関心を継続していることを心強く感じている者のひとりです。

 多くの方がご存知のとおり、ロシア連邦の南方にあるチェチェン共和国の独立を許さないロシア政府は、1994年以来、2度にわたる軍事侵攻を繰り返しています。このチェチェン侵攻は数百年に及ぶ過去から続くものですが、現代においては、それが、ロシア以外の大国政府によっても、「テロとの戦争」として認められているという特徴があります。これがために、アメリカ政府も、日本政府も、チェチェンの一般市民に対する人権侵害に、何ら実効的な圧力をかけることをせずにいます。

 ロシアでは、下院・上院とも圧倒的多数が与党の翼賛体制にあり、政権側の権力の増大はすさまじいものがあります。ロシア国内で民主化のために働く非政府組織は新しくできた「NGO規制法」によって弾圧され、また、テロ事件が発生した場合には、人質もろとも爆撃を許可する「テロ取締り法」も可決されました。現在、報道統制をさらに強化するためのメディア法も審議されています。この法律では、「テロとの戦争」を批判すること自体が罪になる可能性があるとのことです。

 アメリカでも「愛国者法」など、個人の思想・信条の自由が侵害されかねない法が既に運用されておりますし、日本でも、犯罪の相談をしたこと自体が犯罪になる「共謀罪」が国会で審議されています。これは戦前の治安維持法・予防検束の復活とも言われます。一方で「テロ」に対する治安の名目による戦争が、もう一方で各国市民への思想的締めつけが、同時に進行しているのです。

 日本国際フォーラムの研究活動にも、チェチェン戦争反対の運動にも、もっとも必要欠くべからざる前提は、研究と言論の自由です。戦前と同様に、自由が失われたとき、ふたたび私たちは愚かな戦争に手を染めざるをえなくなるような気がしてなりません。私たちはチェチェンに対する戦争に反対すると同時に、一致して、言論の自由を守るという目標をかかげる時を迎えているのではないでしょうか。
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