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2009-05-29 09:20

(連載)北核実験に「新たな制裁」をめざす国連安保理(1)

神浦 元彰  軍事ジャーナリスト
 国連安全保障理事会は5月25日午後(日本時間26日早朝)、緊急理事会を開催し、25日に北朝鮮の行なった核実験を安保理決議違反であるとして強く非難する議長談話を出した。また、緊急理事会は、北朝鮮に新たな制裁を課すことで一致した。新たな制裁案とは、洋上における北朝鮮貨物船の臨検の強化などを含むようである。

 2006年10月の1回目の核実験に対する制裁案では、北朝鮮の外国資産の凍結や、北朝鮮へのぜいたく品の輸出禁止がなどが取り決められたが、それと比べると、今回は遙かに厳しい制裁案である。北朝鮮がアフリカや中東に輸出している武器(通常兵器)の輸出にも大きな影響を与えるだろう。しかし核兵器(大量破壊兵器)などの拡散を防ぐためには重要な制裁案である。ただ北朝鮮(特に軍部)が猛烈に反発してくることは間違いない。

 それにしても不思議なのは、日本のメディアでは、25日の核実験で北朝鮮は核弾頭の小型化に成功したとされていたことである。さらには、2回目の核実験でノドンに小型核弾頭が搭載可能になったという報道もあった。どうしてそんなことが分かるのか、不思議である。まだ核実験によって発生する空中の放射能物資も採取されていない状況で、どうして核実験が成功だったと言えるのか。今の段階で分かっていることは、地震波の測定から前回よりも爆発規模が大きかったというだけである。3発の短距離ミサイルの発射は、地下核実験場から漏れた空中の核物質を採取するために、アメリカ軍などの大気測定機(WC135C)が実験場近くに飛来したのを、追い払うためである。別の意図はない。

 また核実験1時間前にアメリカや中国に北朝鮮は通報したというが、これは4月5日に打ち上げたテポドン2の場合と大違いで、テポドン2は数日前に国際機関に報告し、発射予定時刻や危険海面を通報している。1時間前の通告とは同列の対応ではないのだ。それはなぜか。北朝鮮はテポドン2を発射したあと、金正日とミサイル関係者が並んだ記念写真を公開した。確か、あの記念写真の中に軍服の者はいなかった。まさにテポドン2(人工衛星)打ち上げは、労働党が中心になって行なったイベントだったのだ。だから異例とも思われるほど、その打ち上げについて国際社会に情報提供した。しかし人工衛星打ち上げは失敗した。(つづく)
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