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2009-06-04 07:45

鳩山邦夫の「私闘」で政界再編は無理

杉浦正章  政治評論家
 総務相・鳩山邦夫の「私闘」で政界再編を牽引できるかというと、極めて疑わしい。逆に日本郵政社長の西川善文の続投を認めなければ、総選挙を前に郵政民営化推進派がことを「政局」に持ち込み、自民党分裂の引き金を引きかねない。首相・麻生太郎はまたまた瀬戸際の危機にひんしている。一部新聞や民放テレビなどに、常軌を逸した鳩山の「西川続投認可拒否」の姿勢について「政界再編を狙っている」とする見方があるが、果たしてそうだろうか。その理由は鳩山が民主党代表・鳩山由紀夫と兄弟だからと言う程度意外に根拠が見あたらない。

 事実、邦夫は昨年12月、由起夫に電話して「政界再編やろうよ」と持ちかけている。邦夫は「理念を同じくする者が一緒にいるべきだ。わたしと兄は、少なくとも兄と小沢さんよりは理念が近いと思う」と記者団にも述べている。しかし由紀夫は弟の言動に対して3日「自民党がほとほと嫌になったのか、そうでないかは分からない。政界再編をにらんだ行動とは必ずしも見えないところがある」と否定的な発言をしている。自民・民主対立の構図はいくら鳩山兄弟でも動かせないところに来ている。邦夫には首相への野望も垣間見えるが、その器ではあるまい。あきらかに邦夫は、かんぽの宿を盾に「社会正義」を振りかざして、引っ込みがつかなくなったのだ。そのかんぽの宿の問題も第三者委員会で「経営判断として許容の範囲」という結論が出ている。

 だいたい政府・与党の大勢が「続投是認」に向かっているときに、鳩山が選挙に不利なことが分かっている郵政民営化への逆行路線で旗を揚げて、ついて行く者がいるかと言うことだ。それどころか注目すべきは、民営化推進派のドン・小泉純一郎の出方だ。小泉は元幹事長・山崎拓との3日の会合で「西川を更迭したら政局になる。解散どころではなくなる」と漏らしている。党内基盤のない鳩山でなく、党内基盤のある民営化推進派が動きかねないのだ。中川秀直も「人事は、民営化を進めるか元に戻すかの選択」とすごみを利かせている。

 機を見るに「鈍」な麻生は、盟友であるはずの邦夫のマスコミへの発言を野放しにし続けてきた。ついには「続投なら辞任」とまで言わせてしまった。閣内不統一のそしりを受けても仕方がない対応である。この政権は、ここぞという場面で「政治」がない。焦点は日本郵政の株主でもある財務・金融・経済財政相・与謝野馨が知恵を出せるかどうかだ。6月3日「業務改善命令への対応を検証し、客観的な事実に基づき判断すべきだ」と述べているが、落としどころは業務改善命令がいちおう行われていることを理由に、鳩山を説得するところくらいだろう。しかし鳩山がそれでも辞任するとなれば、麻生はそれを認めるしかあるまい。西川が政局波及への責任を感じて、自ら辞任すれば話は別だが、これはウルトラCだ。
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