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2009-06-19 18:28

(連載)米韓同盟の強化を歓迎する(1)

高峰 康修  岡崎研究所特別研究員
 北朝鮮による4月の弾道ミサイル発射実験と5月の核実験を受けて、日米韓の連携が急速に強まっているが、中でも米韓同盟の強化は著しいものがある。ワシントンを訪問した韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領と米国のオバマ大統領の間で6月16日に行われた米韓首脳会談では、会談を受けた合意文書「同盟未来ビジョン」が発表された。この文書の性格は、昨年4月にブッシュ大統領(当時)と李明博大統領の間で合意された「21世紀戦略的同盟関係」を、新しい安全保障環境や国際政治環境に適応させるために、もう一段階次元を高めたものであると言える。基礎を築いたのはブッシュ前政権であって、オバマ政権はそれを正しく継承しているということになる。

 「同盟未来ビジョン」は、大きく分けて3つの重要な柱を含んでいる。一つ目は、北朝鮮による核実験の後、米国政府高官が相次いで表明してきたことだが、「米国は韓国に対して核の傘を含む拡大抑止力を今後とも持続的に提供する」と文書に明記したことである。これは、当面の北朝鮮への対応の基本となる。米国は、核の傘を含めた拡大抑止力の提供に関しては、わが国に対しても、大統領、国務長官、国防長官が明言している。米国による日韓への拡大抑止力の提供は、北東アジアの平和と安定の基礎である。

 二つ目は、米韓同盟を「世界の中の米韓同盟」と位置付ける方向性を明確に打ち出した点である。同文書は「これまで米韓のパートナーシップは、政治・経済・社会・文化分野の協力を合わせて拡大してきたが、その堅固な土台を背景に、米韓共同の価値と相互信頼を基盤とする二国間、地域的、そしてグローバルな包括的戦略同盟を構築していく」としている。これは、日米同盟や日米豪安保協力関係の目指すところと同じである。そうであるならば、日米韓の三国による連携もますます進めやすくなるということになる。

 日米同盟を補完する存在として、豪州との安全保障協力の強化があるのと同様に、日本が韓国との安保関係も強化することは有益である。このような動きになれば、アジア太平洋地域への米国のコミットをより確実にできるとともに、地域の要望を米国に対してより効果的に伝えることができると期待できる。米国とアジア太平洋の国々の間の同盟は、しばしばハブ・アンド・スポークス構造と呼ばれるが、スポークス同士の連携も密にすることで、同盟の構造全体が強化されるであろう。(つづく)
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