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2009-09-16 17:55

(連載)「友愛」外交と国際協調(1)

角田 勝彦  団体役員
 鳩山政権がいよいよ発足した。国民は大きな期待とともに若干ならぬ不安をもって新政権の行方を見守っている。筆者は、内政について、9月10日付寄稿「まず景気回復と雇用確保の政策継続を」で私見を表明したが、「国の大事」である外交(安全保障を含む)については、鳩山首相の9月下旬訪米など重要な国際デビューをを前に、以下の通り提言したい。

 まず、「友愛」外交だが、そのの表明に関しては大胆に、しかし実際の交渉に当たっては慎重に、ということを申し上げたい。鳩山首相が掲げる「友愛」の理念は、フランス革命でも掲げられた旗印「自由、平等、友愛」の一つである。理想とする「自由」がもたらしかねない優勝劣敗(格差)と、同じく理想とする「(結果の)平等」がもたらしかねない堕落(ソ連崩壊)の間の調和をとろうとしたものとも言える。行き過ぎた市場主義の是正が急務となっている現在、まさに注目に値する理念である。

 これは、外交面では、オバマ米大統領がモットーとする国際協調と共通する。すなわち、国際関係の根幹にあるパラダイム(思考の枠組み)として、オバマは冷戦時代のような「友敵構造」でなく、国際協調のパラダイムを提示したのである。現実主義からの「甘い」との批判はあるが、米国の力の限界からして、むしろ真の現実主義に立脚した考えとも言える。いずれにせよ「核のない世界」構想などは支持も多い。現在の主要な国際懸案である世界経済回復、核不拡散、地球温暖化、国際テロ対策とアフガニスタンを含む破綻国家の再建などについて、米国は、15日開会の国連総会のほか、22日の「国連気候変動首脳会合(気候変動サミット)」、24日の安保理の「核不拡散・核軍縮首脳級会合(核軍縮サミット)」、さらにそれに続く「20カ国・地域(G20)第3回首脳会合(金融サミット)」などで、この国際協調路線を追求していこう。これは、基本的には日本の国益にも資するものである。
 
 鳩山代表はオバマ大統領との9月3日の電話会談で、民主党の勝利はオバマ大統領の「チェンジ」が日本国民に勇気を与えてくれたためだと述べ、世界同時不況への対応については「緊密な協力の中でお互いに改善したい」と語り、かつ「気候変動や核廃絶に大統領はリーダーシップを発揮している。わたしたちも同じ気持ちで発揮しなければいけない」と強調した。この土台の上に、まずオバマとの個人的相互理解を醸成し、「信頼関係を構築」することが重要である。(つづく)
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