国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-09-19 23:37

「自立」と「自律」が世界の問題を解決する

宮崎 厚  ベンチャー企業顧問
 2年ほど前の当フォーラムの「設立20周年」記念講演で、当時の麻生外相がユーラシア大陸に「自由と繁栄の弧を築く」と述べたのは、印象的でした。その実現策に関して自分なりに思いをめぐらせて来ました。この度、日本には民主党政権が誕生し、鳩山首相の「友愛」外交に関して皆様が色々意見を書かれておられます。「友愛」とは、フリーメイソン的な言葉であり、欧米的な宗教用語のような気がします。イメージ戦略的には上手い表現とは思いますが、具体的イメージにはやや乏しい感じです。私は最近の国内政治状況を見ていてふと感じたことですが、今の日本にも、そして対外援助外交においても、民主主義、自由主義、資本主義、そして平和で安全な社会を求める為には、人々に2つの「じりつ」が必要だ思います。

 その一つは、人々の生活上の「自立」であり、二つ目は、人々が誇りを持った「自律」です。たまたまバングラディッシュのユヌス氏のグラミン銀行のことなど考えていたら、本日、身体障害者自立支援法の評判が悪いということで、廃止する旨が、ある大臣から発表されました。残念ながら私は法の詳細は知らないのでなんともいえませんが、ハンディキャップを持った人や、多くの人々が、戦闘や内乱に苦しみ、飢えに苦しむ国々があり、貧困ゆえにテロリストに加担せざるを得ない人々がいます。それらの国々や人々に対して、国家がお金を渡すだけで問題が解決できるとは思えません。人々の「自立」を支援する事が、最も有効な支援策であると思います。「自立支援」と言う言葉が何故悪いのか分かりません。

 例えば、北朝鮮に経済援助でいくらお金を渡しても、多くが政府高官や役人の汚職や蓄財に使われてしまうでしょう。せいぜいミサイルでも買ったり、核兵器でも準備をした方が手っ取り早い、となってしまうでしょう。現に混乱するイラクでは、汚職と賄賂が蔓延していると報道されています。経済援助の基本は、相手国民衆への「自立支援」であると思います。人々が自立して生活できるように、制度や策を講じることが政策ではないのか。相手国政府へのノウハウの提供も大事です。それは日本の内政とても同じです。持てる国から持たざる国へ、富を再配分しても、本来の解決にはなりません。イラクも、アフリカの貧しい国も、北朝鮮も、チベットも、中央アジアも、全ての国々の民衆が、それぞれ自立して生活が出来るようになれば、平和を望み、民族の共存を望み、人類の発展につながるのではないでしょうか。

 「金持ちから奪って、貧乏人に配れ」と言うねずみ小僧的な美学による国や政府の政策では、限界が見えてきます。日本も国家財政が赤字の中で、今後経済援助を金額的にドンドン増やしてゆく事はできません。何しろお金を配ればドンドン足りなくなるのが世の常です。何かを共にやって、山分けしてゆく方がいいはずです。そんな精神で、これからの世界の平和構築や発展途上国援助は、相手国民の自立支援を最重点として考えていったらどうでしょう。但し、民衆が自立して賢くなっては困るような政府もあるから厄介です。かつてどこかの国でも「寄らしむべし、知らしむベからず」とか、「国体の維持の為」と称して、負けの分かった戦争をずるずる続けた国もあったのですから。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム