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2009-11-16 03:24

日本人は、大局観を持ち、本質を追及せよ

宮崎 厚  ベンチャー企業顧問
 政治的、外交的に他国を説得し、賛意を得る為には、常に大局観を持ち、本質を突くことが大切と感じます。人にはそれぞれの生き方や、人生観があり、どんな意見でも必ず反対者が存在します。日本国内を見れば明らかです。ましてグローバルに世界を考えた時、「日本の常識は、世界の非常識」といった事も多々あるでしょう。そんな状況を克服するには、大局観を持ち、本質を語ることが大切です。日本の中で時々聞く言葉で、「ヨーロッパの街や景色は美しいが、どうして日本はそれほどではないのか?」「日本人はその美しさを認めて多くの人がヨーロッパ旅行を好むのに、日本へ帰ると自分たちの街を美しくしないのか?」等々。

 それに対して、一つ気づきました。「大局観」です。例えば、あるイタリアの田舎町にあった太古(ローマ時代)の貴族の別荘の遺跡を見たとき、その壮観さに打たれました。しかし、そのレンガや石を積み上げた地肌は、乱暴極まりない作りです。大きい石の間に小さい石を詰め込んで、間にモルタルのようなものを乱暴に詰めこんで、全く雑な作りです。しかし、2000年近く経て、美しさで、東洋人の自分を感動させるのです。日本のブロック塀とトタン屋根のほうがよっぽど精巧にきちんと作られています。しかし、ブロック塀とトタンで家を作っては、観るも汚いあばら家になってしまいます。雨風しのぎに使うことだけ考えれば、そのほうが安くて効果的かもしれませんが、2000年後に異国の人間を感動させる事ができるでしょうか。

 この違いを考えてみたところ、大局観の違いではないかと感じました。かつてエジプトのピラミッドを見たときも、同じように感じました。目の前にはただでかい石がごつごつしているだけですが、遠目から観ると、見事な四角錐です。これもまさに大局観が優れているのだと思います。日本にも「小異を捨てて、大同につく」とか、「達観して物事を見よ」などと言うではありませんか。やはり、大局観を持って、首尾一貫して本質を追求する事こそ、時間と共に賛同者を増やし、時代の流れを作る力となるのではないでしょうか。海外と接して意見を言う場合には、この点が大変重要な気がします。

 例えば、米国と日本の関係一つを捉えても、かつて「鬼畜米英」といって戦争にまい進した日本で、いまさら表向き「平和主義」「憲法9条維持」をとなえる人々が、「反米」をいくら言っても始まりません。昔から「アメリカはアメリカ。日本は日本」であって、太平洋を挟んで日米はしっかり協力しあう必要があることは明らかです。ペリー来航以来、アメリカと日本のどちらにブレがあったかと言えば、日本のほうかもしれない。勿論国際関係は対米政策だけではありません。いかなる国に対しても歴史的、長期的、地政学的に日本は「大局観を持って」「本質を追求してゆく事」が大切で、ブレない対応をしてゆく事がグローバル化において心掛ける外交方針のように思います。
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