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2009-11-18 10:33

(連載)国民投票の実施と投票の義務化を(1)

角田 勝彦  団体役員
 10月26日、鳩山首相は所信表明演説で、今回の政権交代を「無血の平成維新」と表現したが、発足後60日を過ぎた現在、確かに「維新」らしい動きが多く見受けられる。「2020年に90年比で25%削減」という9月の国連気候変動首脳級会合での温室効果ガスの削減目標発表は、経済界などを驚かせた。米軍普天間飛行場移設、地位協定改定、核の先制不使用、核密約の追及、海上自衛隊のインド洋からの撤退などをめぐり、「駐留なき日米安保」論に至るのではないかと懸念する人すら出ている。本年2月、小沢一郎幹事長が「在日米軍は第7艦隊だけで十分」との考えを示唆しているのも、同じ流れである。外交・安保関係については、もう少し展開を見たく、これ以上は、あえて触れない。

 内政面では、たとえば八ッ場ダム建設中止が大騒ぎになった。11月11日から行われている政府の行政刷新会議による「事業仕分け」は、「まるで『人民裁判』だ」との悲鳴まで出る断罪のようなやり方が問題視されているが、内容面でも「参考意見」たるにとどまらず、12月の財務省査定で「全部その通りにやる(藤井裕久財務相)」ことになると、大きな混乱を惹き起しかねない。なお「事業仕分け」には思いやり予算も含まれている。

 さらに民主党は、11月12日、官僚答弁の禁止など国会改革案を了承し、与党内の合意を得て今国会に国会法改正案を提出する方針とされる。これには社民党などから反対が多い。とくに国会で答弁を認める政府特別補佐人から内閣法制局長官を除外するのは、政府の憲法解釈を変更する際のブレーキを外そうとしているのではないかとの批判がある。

 このように、来年夏の参院選で民主党が参院でも単独過半数を握った場合の民主党の独走の可能性には、与党内にも不安があるのである。古代ギリシャの哲人プラトンが、当時の都市国家の情勢を分析し、賢人の支配する「哲人君主ないし貴族政治」を最善のものとしつつ、大衆の手に移された政治を「衆愚政治」と呼び、さらにそれが最悪の「僭主政治」に転落する危険があるとさえ説いたことが想起される。(つづく)
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