国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2009-12-02 02:59

「無理な経費削減より財政出動の拡大を」に賛成する

玉木 洋  大学教授
 角田氏のご見解「無理な経費削減より財政出動の拡大を」に賛成である。さまざまの政策課題が山積し、特に経済状況が厳しい今日においては特に、「政局よりも政策」が国家・国民にとって重要である。政局的意味で行われている色彩が強いという意味でも、問題がある事業仕分けに精力を注ぎ、それによって、本来必要性がありそうな予算を削り、経済政策面でも重要な予算を削るというようなことをするよりは、必要性や効果を検討した上でのことは当然であるが、財政出動をより積極的に考えることこそ現時点で重要であろう。

 現在の事業仕分けについて、若干の私見を補足させていただく。事業仕分けは、全体としては国民の間で支持されているという世論調査の結果が出ている。しかし、それはおそらく、「無駄遣いを思い切って切ることが大事」「国民に見える透明な議論が大事」という一般的スローガンの範囲での支持なのではなかろうか。実際には個々の予算が無駄であるかどうかについて、適切な検討が行われて、仕分け判断されたとは思えず、また、そこまでの内容を見て、事業仕分けについての賛否を世論調査において回答したものではないのではないだろうか。

 事業仕分けでは、もちろん一部では「本当に無駄」といっても良いものも仕分けされているとは思うが、基本的には、民主党の政策を実現するための予算を浮かせる必要性、悪評高い官僚をたたいてみせる政治的必要性、自民党政権は無駄遣いをしていたというこれまでの民主党の主張が正しかったことにする必要性、国債の増額や増税を極力避ける必要性、といったものが事業仕分けの本質的な動機であり、推進力であろう。このように今回の事業仕分けは、「政策」というよりは、「政局」としての意味合いが非常に強いように思われるものである。緊急事態を前に、まさに「政策」としての真剣な対応を望みたい。

 「国民の支持を得て政権をとりたい(あるいは維持したい)」→「より分かりやすい国民生活向上策をとりたい」ということであろうが、民主党は、多数議席獲得に必要な国民の支持を得るために、「一見良いことばかりの政策」を国民に示している。その政策の整合性を何とか図りつつ、国民の支持を獲得しようとしているが、その結果として「国民の生活が第一なので、子供手当てや農家の所得保障をする」という政策になっているのではないか。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム