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2010-01-19 07:56

民主党の「小沢擁護」は異常な様相だ

杉浦 正章  政治評論家
 ふぬけ、腰抜け、意気地なしの類語がすべて今の民主党議員に当てはまる。小沢“恐怖政治”がそんなに怖いのかということだ。完全に潮目が変わったにもかかわらず、政府・与党首脳はおろか、小沢チルドレンに至るまで表だった批判がない。批判がないどころか開き直ったように18日の役員会で、言論規制にもつながりかねない動きに出た。「捜査情報漏洩対策チーム」の設置を決めたのだ。鳩山の「戦ってください」発言とともに、政権政党の自覚などさらさら感じられない対応だ。やきが回ってきたとしか思えない。小沢を擁護するあまり、自らが入る墓穴を自分で掘り出した形だ。民主党の“沈黙”のひどさには「おれなんか不祥事がなくても党内から足を引っ張られた」と前首相・麻生太郎があきれている。今朝の朝刊一押し記事は読売新聞の編集手帳だ。傑作な笑い話を紹介している。スターリン批判をしたフルシチョフに会場から「その時あなたは何をしていたのか」との声がかかり、フルシチョフは「今発言したのは誰か」と問いかけ、答えがないのを知ると「今のあなたのように黙っていた」と答えたという逸話だ。しかしその後スターリン批判はうねりとなって広がった。ふがいない民主党国会議員400人の「寂として声なし」の状況が異様に見える。

 ふがいなさの筆頭は言うまでもなく首相・鳩山由紀夫だ。かねてから「秘書の責任は政治家の責任」と自民党を追及してきたが、小沢の秘書は何と3人が逮捕された。「3度辞めても辞めたりない」と言うべきなのに「戦ってください」はない。金融相・亀井静香の「小沢氏は信長だ」とのピント外れ発言は毎度のことだが、一言居士かと思っていた外相・岡田克也に至るまでが「いま説明責任をというのは酷だ」と擁護に回った。国対委員長・山岡賢次にいたっては「子ども手当で支持率が戻る」などというはかない夢をチルドレンに説いている。首相の秘書が起訴、幹事長の秘書が3人逮捕という異常事態に、民主党内はまるで民主主義政党の名前を忘れたかのように、小沢一人にへつらいおもねる政党と化してしまった様相だ。加えて党機関として言論規制とも言える動きまで示し始めた。「捜査情報漏洩対策チーム」の設置だ。明らかに検察への圧力・けん制を意図したものである。憲法で保障された言論自由への挑戦でもあり、民主党の「小沢全体主義」体質の露呈を意味するものだ。政権自ら検察をチェックするとは自縄自縛そのものだ。民主主義の破壊につながると言わざるを得ない。

 こうした常軌を逸する動きの背景は何か。一番の理由はKYにある。空気が読めないのだ。政局の動きを読む力がないのだ。冒頭述べたように、明らかに潮目は変わったのについて行けないのだ。なぜか。それは政権発足以来4か月間マスコミにちやほやされ続けて、何をやっても褒められるという“条件付け”がなされてしまったのだ。突然のマスコミの変容に驚くばかりで、為す術を知らないのだ。加えて小沢の恐怖政治だ。小沢批判をした者は徹底的に人事で干される。選挙での公認は外される。小沢が握っている政党助成金ももらえるかどうか分からないとなれば、チルドレンでなくともすくみあがる。唯一人渡部恒三が批判的言動を続けているが、落語家のようですごみにかける。

 今後は“小沢立件”に向けての検察の捜査が進み、国会で集中的に政治とカネの問題が取り上げられ、マスコミが全力を挙げて小沢の疑惑を暴き続ける。小沢、鳩山への集中砲火が続く。鳩山はマザーゲート追及で自分の火の粉を払うのに精一杯。本人はユーモアのつもりなのだろうが、小沢の口癖「またまたお騒がせしております」のフレーズに国民の嫌悪感が頂点に達しつつあることがやがて分かってくる。40%台に落ち込んだ支持率が30%台になるのも時間の問題だろう。いくら何でも20%を目前にすれば政権内部から自浄作用が生じないことはないだろうが。小沢は昨年の西松建設疑惑にもかかわらず総選挙で勝ったのは「国民が理解してくれたから」と発言しているが、これほど浅はかな政治の見方を知らない。総選挙の前も後も国民の70%が説明責任を果たしていないとの判断だった。それが今度は91%となり、辞任要求の声が70%だ。本人はまるで“選挙マニア”のように参院選に没頭しようとしている。選挙で勝てば免罪符をもらえて地位保全を図れるという判断だが、今度ばかりは四面楚歌だ。大局を見逃している。参院選に追い風など吹くわけがない。
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