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2010-04-13 22:48

鳩山政権の稚拙な対中、対米外交

山田 光彦  元総合商社役員
 鳩山首相と担当閣僚の外交は、稚拙過ぎてJapan passingだけでなく、多国間外交における敬意無き疎外さえもたらしている。自主外交路線と普天間基地移設合意の破棄を混同して、対米離反の外交政策を採っている民主党政権は、他面で中国に阿る政策を採っている。中国は、日米安保条約の脆弱化、変質または破棄の好機到来と捉えて、東シナ海ガス田の開発増強、尖閣列島の占拠と領有化、周辺海域での海軍恒久設備構築と制海権確保、先島列島への進出、沖の鳥島周辺海域の海洋調査などの対日強硬策を企画している。 民主党政権と社民党は、中国が1973年の米軍のベトナム撤退後西沙諸島を、1993年米軍のフィリッピン基地撤退後南沙諸島を、それぞれ武力占拠して、領有化したことを想起すべきである。 4月10日夜からの中国の潜水艦2隻と海軍艦艇8隻の沖縄、宮古島間通過と演習航海に対しては、「不必要な挑発示威行動である」として、断固たる抗議を中国政府に申し入れるべきである。看過するばかりか平野官房長官の「問題視しない」という発言は言語道断であり、中国は次に更に増長した行動に出てくること必至である。

 数年前は「潜水艦が故障したので領海内を通過した」との言い繕いだったが、今回は堂々と海上航行とは、鳩山首相以下日本政府閣僚の国防意識の欠如を織り込んだ行動と言える。外交交渉においては、相手にとってこうるさい存在になることが基本中の基本であり、その点、中国外務省の報道官を初めとする役人のプロ意識は徹底しており、日本に対する非難発言、牽制球の出し方は、敵ながら天晴れである。尖閣列島問題に関しては、フィリッピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、ブルネイといった南沙列島占拠問題を抱えている諸国と共通する問題として連携する必要がある。なんといっても、米軍の対中抑止力が最強カードである。共産党の軍隊が60年以上に渡り、国民党員、農民を大量殺戮し。文化大革命と天安門事変での粛清、チベットとウイグルの武力併合、インド、ベトナム、ネパールとの国境を巡る武力行使といった蛮行を重ねている中国の歴史を認識すべきである。

 小沢一郎の国連至上主義を貫きたいならば、先ず日本の安全保障理事会常任理事国入りに対する中国の反対を撤回させる必要がある。中国の軍事予算肥大化を継続批判し、核兵器の削減を求め、日本向けミサイルの撤去を要求する必要がある。毒入り餃子事件における対中要求(「国民の命を守る」と国会で絶叫したのは、鳩山首相ではなかったのか?)、サイバー・アタックの防止など、中国に対し発言、発信せねばならぬ事例に事欠かないが、根気よく牽制発言をやって、こうるさい存在になることが、他国からの敬意も得られることになる。鳩山首相は米国で胡錦濤主席から会談冒頭おだてられて舞い上がり、上記事例に関して辛口の申入れをせずに、言及だけやって、日本国内向けアリバイ造りで終えてしまった様子が容易に想像される。

 米国との関係でも、日本の法人税収のほぼ10%を負担しているトヨタ及びその裾野部品産業の経営危機をもたらしかねない TOYOTA Bashing について、不公正かつ偏向的な扱いがあり、鳩山首相、岡田外相、前原国交相などの各大臣は、これを牽制し、あるいは反論すべきである。米国議会で感情的証言をした老婦人が、実はアクセルとブレーキを踏み間違えていたこと、該当車は適正な価格で中古販売された事実や、ABC TV が捏造報道を行っていたことも明らかにされている。こういう事例に対して、日本政府首脳は、時機を失わずに、国益を考えて発言してほしい。その外交感覚が無い人物は、中国に阿る媚中政治家と共に即刻退場すべきである。上海万博開会式に出席する鳩山首相が南京虐殺記念館で謝罪、拝礼する図だけは見たくない。
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