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2010-09-11 10:45

(連載)民主党代表選の後に来るものは何か(3)

角田 勝彦  団体役員
4.マニフェストと財源
 9月7日付けの本欄に掲載された杉浦正章氏の「『はったり』と『強弁』の『小沢財政』を危惧する」を面白く読ませていただいた。子ども手当の満額支給などマニフェストの完全実施には4兆から5兆の新規財源が必要だが、小沢氏は、消費税を否定するのみで、「政権を取れば20兆や30兆の財源などいくらでも出る」と豪語する財源の根拠は、杜撰な思いつき以外なにも示されていない。事業仕分けを含む鳩山政権の結果を見ても、ムダ削減には限度がある。地方自治体への補助金の一括交付金化による減額にしても、補助金21兆のうち15兆は高齢者医療、国民健康保険、生活保護などであり、交付金になっても削減は難しい。国債増発に走るのではないか。

5.経済対策
 オバマ米大統領も9月8日、3500億ドル(29兆円)規模の景気対策案を発表したが、現在円高で景気下振れが警戒されているなかで、「小出しせず2兆円の追加経済対策を実施する」との方向性は、「まず予備費から1兆円を支出する」という菅内閣の方向性と同じだが、2011年度予算編成を「官僚主導である」と断じて、「政治家の責任で政策、予算を決定する体制をつくらなければならない」というのは、対策実施を遅らせるものではないか。

6.政治主導
 9月6日の予算編成をめぐる小沢氏の批判に対し、仙谷官房長官は記者会見で「現実を踏まえなさすぎる酷評だ。社会保障費などを全く異なる手法で大胆に切れるというなら、具体的に言わないと説得力がない」と切り返した。政治主導は共通のスローガンだが、理念空回りでなく、実態に即した行政を尊重しなければならない。実態を無視した政治主導は、たいてい無知と勉強不足が主因であるが、空回りで済めば運がよい方で、実害を及ぼしかねない。官僚排除も、9月8日の記者会見で「内閣に法制局は必要ない」と廃止を明言したのに至っては、言うべき言葉がない。憲法解釈はともかく、日々の法律の整合性をどう確保するつもりなのだろうか。

7.健康
 首相になった場合は、「政治生命どころか、自分の命を懸けて政権運営にあたる」と訴えたが、とにかく激務である。いろいろ噂される健康状態を明らかにするのは、公人としての責任であろう。(おわり)
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