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2010-09-24 16:44

(連載)尖閣諸島問題について日本は反論せよ(1)

坂本 正弘  日本戦略研究フォーラム副理事長
 海上保安庁船舶への中国漁船の衝突・船長逮捕事件を巡って、中国は温家宝首相までが、船長の即時釈放の要求と更なる追加対抗措置を示唆する強い姿勢を打ち出した。他方、日本政府は「国内法に基づき粛々と対応する」とするが、これは「尖閣列島は日本の領土であり、日中間には領土問題は存在しない」との日本政府の立場からいえば当然と言える。しかし、このままでは、国際的には中国の言い分のみが、世界のメデイアを賑わしている印象があり、日本として、中国の言い分が正しくないことを反論するキャンペインが必要である。

 老子は「難しいトラブルは易しい内に、大きなトラブルは小さい内に、片づけて置かなければならない」と述べて、表面化してからの対応の遅れを戒めた。これまでの日本の対応が、時間稼ぎに終始し、時として中国側の介入を誘発してきた状況を反省し、この際、日本は本腰を入れて、事態の悪化を防ぐ必要がある。中国との交渉は、毅然とした態度で対抗、抗争し、しかも破綻を避けることが要諦と考えるが、これは、中国が米国やソ連との交渉に使う戦術である。さらに言えば、日本が不測の事態への備えを充実することが、空白を埋め、結果的には事態へ対応を容易にすると考える。

 まず、尖閣諸島の帰属だが、以下のように日本の固有の領土である。1951年サンフランシスコ条約で、日本は尖閣列島を含む琉球諸島を米国の委任統治に委ね、1952年4月の「琉球政府章典」は管轄地域に尖閣諸島を含んでいた。周恩来首相は1951年の対日平和条約には反対だったが、尖閣諸島の米委任統治にはクレームをつけていなかった。1960年代後半、東シナ海の石油・天然ガス資源の存在が国連などによって指摘されたなか、中華民国が米ガルフ社に鉱業権を付与し、尖閣諸島の領有権を主張したことに対しては、1970年琉球政府・立法院は、これに反対する旨の決議を行っている。1971年6月米国から日本への沖縄の返還が合意されたが、同年12月、中国外交部は「尖閣列島は中国領土である」と主張した。日本外務省は72年5月「尖閣列島は日本の領土である」と反論した。
 
 日本はこのような経緯から尖閣諸島が、日本の固有の領土であることを、内にも外にも、改めて主張すべきと考える。しかし、重要なことは、中国の謀略の前でぶれないことである。中国との交渉は、毅然とした態度で対抗、抗争する気力と、しかも破綻を避ける知恵が必要と考える。「東シナ海は友愛の海」などと言っている甘いスタンスでは、中国というタフな交渉相手に対抗できるはずもない。(つづく)
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