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2010-10-09 22:19

情報遮断されている中国の巨大若年層について考える

山田 光彦  元総合商社役員
 尖閣列島沖での中国漁船の海保艦艇衝突、船長逮捕その後の釈放事件に関係する一連の中国政府の強硬な外交攻勢と貿易制限措置、民間人の拘束まで絡めた広範、執拗かつ迅速な全面攻撃の結果として、日本のみならずASEAN諸国、韓国、インド等においても、最低で対中警戒感、さらには対中嫌悪感まで引き起こしている。米国との連携を深めて、中国を牽制し、防衛体制を強化する動きをとる国が増えていくことだろう。我が日本も、その動きの一翼を担っていくことを期待している。

 一方、事件発生以来の CNN, BBC の on line blog には夥しい程の中国のネット利用者からの過激な書き込みを眼にする。共通しているのは、現在の中国の経済力、政治力への過信であり、自己陶酔である。「力は正義なり」という覇権主義である。現在の中国には、文化大革命の後に生まれておりながら、紅衛兵による大量殺戮も天安門事変での虐殺も、学校はおろか、出版物、マスコミからも教わっておらず、従ってこの二つの血腥い事変を知らない、数億人の50歳未満の人口が存在している。

 学校では、依然として日本は軍政下で、対外侵略主義であると教育されており、中国と異なり過去65年間にわたり他国への軍事力の使用が無いばかりか、アジアにおける最大の公的援助供与国であり、今年でも中国に12億ドルも支援していることなど、全く知らされていない。言論と放送への検閲、情報遮断によって、選挙の権利、言論の自由、信教の自由、国内の居住と移動の自由、法治主義、法の下での平等といった基本的な自由と規律が、世界中で守るべきものと尊重されている現実も知らない。

 従来、中国共産党政府は、政権への不満を日本への攻撃に転化させてきた。しかし将来のいつか 覇権主義に修正を加えて、柔軟路線に転向せざるをえない時期、局面が来るだろう。その様な時に、情報遮断されたままで政治力、軍事力を過信した巨大若年層が北京指導層へ刃向かう図は容易に想像される。血塗られた紅衛兵の再現の図である。巨大な knowledge gap を如何にして埋めていくのか? 中国はおろか隣接するアジア諸国共通の課題であり、中国若年層の海外事情 awareness 向上の取り組みが官民に於いて必要とされる。
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