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2010-11-13 00:22

対症療法・受け身に終始する日本外交への苦言

宮崎 厚  ベンチャー企業顧問
 外交問題に関する日本のマスコミ報道機関の捉え方は、常に「中国の真意は?」「ロシアの意図は?」「米国の作戦は?」といった表現を使います。日本政府に対しては、「冷静に」「穏便に」「話し合いで」と諭した言い方をよく耳にします。私に言わせれば、こんなのは「外交」とは言いません。もっと「日本は、世界がどのようになることを望むのか」「人類の平和と発展のために、各国はどのような社会を目指せばよいのか」「地球環境の保全や人口問題について、日本は各国に何を求め、日本はどのようにしてゆけばよいのか」といった方向で、日本の「目標」と「戦略」を打ち出した外交を展開してゆくべきです。

 首相以下、外相、外交官たちも、いつも対症療法や受け身の時間稼ぎばかり、各国の顔色を伺うばかりです。首脳会談や外相会談も「会うこと」というか「会ってもらうこと」ばかりに腐心し、「会ってもらってから、どうするか」ではなく、「会ってもらうために、どうするか」が問題となり、会う前から譲歩や迎合をして、相手ペースに巻き込まれています。会談で何を獲得するかの戦略が初めから欠落し、「会うこと」自体が目的化しています。日本こそ、外交に戦略を持って、まずはTPPのような環太平洋やアジア周辺の諸国と共同した実験的な外交を進めるべきです。

 今般、オバマ大統領が胡錦濤主席とソウルで会見し、意見の一致が得られないと見るや「今後の両国は、二国間問題だけでなく、世界の問題を語ろう」と述べたそうです。どうして日米間では「日米同盟の深化」、つまり二国間問題しか話題にならず、世界のことが議論されないのですか。日本は「自国に関係ない」と言わずに、もっと世界全体の問題に口を出すべきです。イスラエル・パレスチナ問題、ロシア・チェチェンの問題、中国・チベット、台湾問題、アフリカ部族戦争問題、ソマリア貧困問題など、どれもこれも、「自国に関係ない」ではすまない問題です。正しいと思う解決策を考え、日本の意見として明確に述べるべきです。これらの諸問題について、世界のいわゆる世論形成と意見集約に日本も貢献できるのではないだろうか。

 私はそれを支持するわけではありませんが、外交に関しては、シオニストのやり方を見ていると、はっきりとした意図を持って、外交に努力していると思われます。彼らの意図が「よい」とはけっして言いませんが、外交に「目的意識」を持ち、「狙い」や「意図」や「作戦」を立てて進めてゆくことの重要性については、日本はシオニストにも学ぶべきです。世界の人々が日本の意見に一目をおくようになり、世界が日本を無視できないようにすることを、考えなければなりません。さもないと、世界から「日本は顔の無い国」「日本異質論」「日本と話すよりも、米国と話せばすむ」といった定評が広がることを恐れます。あるいは、そのような定評はすでに広がってしまっているのかもしれません。
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