国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2010-11-25 10:42

(連載)朝鮮学校への高校無償化適用を当面中止せよ(2)

角田 勝彦  団体役員
 ボズワース氏は11月23日の協議で中国側の考えも聞いたうえで、本国に持ち帰って、米国としての最終的な対処方針を決定する由であるが、いずれにしても6者協議再開はこれまで以上の難航が予想される。さて日米韓3カ国は「何事もなかったかのように見過ごすわけにはいかない」という点で一致しており、日本としても何らかの対策が必要である。この関連でひとつ考えられるのは、国内で批判も強い「朝鮮学校への高校無償化適用」を少なくとも当面中止することである。
 
 
 3月に成立した高校無償化法案の朝鮮高校への適用(就学支援金支給を含む)については、国会で批判が強く、第三者機関で適用の要件を検討することになっていたが、11月5日「専門家会議」の報告書に基づき文科省は「個々の具体的教育内容については基準としない」旨の適用基準を決定している。ただし、教育内容に懸念がある場合は「留意事項」として学校側に通知し、自主的な改善状況の報告を求めることができると規定した。在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係も不問としている。

 この結果、現在運営されている朝鮮高校10校が11月中にも申請すると見られ、年内にも支給対象に指定されよう。適用が決まれば世帯年収に応じて生徒1人当たり年額約12万~24万円が4月にさかのぼり支給される。来年度分として2億円以上の拠出が年内にも決まりそうと見られている。これには「公金その他の公の財産は、----公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」とする憲法第89条違反との疑いのほか、北朝鮮制裁に関する国連決議等への違反の疑いもある。

 朝鮮学校は実質的に朝鮮総連の下部組織であるが、朝鮮総連は、11月18日、機関紙の『朝鮮新報』(電子版)で「自前の軽水炉が建設されれば、核問題に関する従来の協議はすべて無効」とする記事を掲載した。北朝鮮の国際交渉力がウラン濃縮や軽水炉建設で高まると見て、応援しているのである。国内でも反対は多い。拉致被害者家族会と支援団体「救う会」は「拉致問題で日本が軟化したとの誤ったメッセージになる危険が大きい」などと主張している。これほど問題と反対が多い高校無償化法案の朝鮮高校への適用は、ウラン濃縮疑惑まで生じた現在、少なくとも時間をかけて熟考したほうが良いのではないだろうか。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム