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2011-01-22 22:14

(連載)政策の主軸を1人当たりGDP増に移せ(1)

河東 哲夫  元外交官
 何かこの頃やたら、「日本は人口が減少するから、もう駄目だ」式の悲観論が聞こえてくるが、戦前の日本は7000万人くらいしかいなかったのだが。今だって、労働力人口が減る分は、海外に生産を移転すればいいのだし、利益の一部は日本に戻ってくるから、増える一方の老年人口を養うのに使える。需要が減れば、輸出を増やすよう努力すればいいのである。戦前は大東亜共栄圏とか言って、無理して市場を海外に広げたが、今はWTOやFTAに守られて、世界中が日本の市場になっている。中国や韓国に対して貿易黒字を続けているのは、世界で日本くらいなものだ。

 と、そんなことはどこでも書いてあるので、今日はちょっと確かめてみたいことがある。それは、日本での労働年齢人口の減少を、女性の就職増と外国人労働者の増加がかなり相殺しているのではないかということだ。では、とネットで検索した結果は、次のとおりであった。統計局が出している「就業者数」統計によると、高度成長最中1965年1月の就業者総数は4713万人、バブル景気が破裂した直後、つまり日本経済がピークにあった1991年1月は6327万人になり、更に増えて1998年1月には6560万人に達したあと、頭打ちになっている。2010年11月には6233万人だ。

 その中で女性の就業者数はどうかと言うと、1965年1月が1875万人、1991年1月は2581万人、1998年1月には2689万人、2010年11月には2633万人になっている。全就業者のうち、女性がしめる割合は、1965年の約40%から201年の42%までほとんど変動がない。では、労働年齢にある女性のうち就業者が何%いるかを調べようとして、計算するのは大変であることを発見した。

 そこでずるを決め込んで、2008年の20歳~60歳の女性人口を数えてみたら、3331万人なので、2008年1月の女性就業者数2667万人と比べてみると、労働年齢の女性のうち、就業しているのは実に80%に達しているということになる。だが、さらに10%が就業するだけでも、約300万人に達する。2006年経済財政諮問会議は、25歳~44歳の既婚女性の就業率を「2006年の57%から2016年には71%に引き上げる」という目標を採択した。2006年、25歳~44歳の既婚女性は約800万人いたが、2016年もその数はあまり変わらないと思うので(人口ピラミッドを見ると、そんな感じだから)、それだけでも112万人就業者を増やすことになる。(つづく)
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