国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2011-01-23 00:12

チュニジア政変に関して思うこと

宮崎 厚  ベンチャー企業顧問
 北アフリカのチュニジアにおいて、民衆デモがおこり、長く大統領を務めたベン・アリ氏の政権が崩壊しました。「ジャスミン革命」と言われているようです。このことに関して、あまり情報を持っているわけではありませんが、感じたことを述べます。皆さんのご意見もお聞きしたいところです。

 まず、ベン・アリ政権の下で、チュニジアという国が、一方で、アフリカの寵児と言われるほど経済成長を実現しながら、他方で、独裁政治と腐敗政治が行われ、大統領一族が日本円で1兆円以上とも言われる巨額の蓄財をしていたことを、どう理解するのかです。ベン・アリという人は、政治家としては非常に有能、優秀であったにもかかわらず、人間的には公私の区別のできない貪欲な人物であったと想像されます。日本を含め、世界的にも、歴史的にも、政治家には、その職業柄、多少の詭弁や欺瞞性はつきものですが、蓄財の額があまりにも桁違いであるところに国民の怒りが爆発したのでしょう。せめて100分の1の百億円レベルの蓄財であれば、経済成長・生活向上の功績に免じて、もしかして国民は許してくれたかもしれない、なんて思ったりしています。

 次に、気になるのは、チュニジアが非常に親米的な政権であったということです。かつてのイランのパーレビ国王がそうでしたが、かつての南ベトナムや中南米諸国などでも、親米的な政権に腐敗で崩壊するケースが多いのも気になります。まあ、現在の北朝鮮や、スターリンの旧ソ連、紅衛兵や天安門事件の中国などのように、軍隊が国民の前に立ちふさがる民衆抑圧型政治よりはましだともいえますが、米国外交が、ともすれば親米的な政権の支持を優先し、結果的にその国の国民の支持を失っているのは、残念です。

 それにしても、ベン・アリ大統領失脚のきっかけは、国民に銃を向けることを命ぜられた国軍の参謀総長がその大統領命令を拒絶したことだそうです。その結果、街では市民が戦車や軍人たちに花束を渡して、感謝しているそうです。状況を想像して、感動しています。なぜなら、戦後はもちろん、戦前を含め、日本にはそんな軍隊はなかったのですから。国民の生命や財産を守る軍隊に、街で女性やお年寄りが花束を渡すような状況は、日本では起こりませんでした。

 物思いはそのくらいにして、ところで、日本政府は、これからアフリカ圏諸国との関係強化にも取り組んでゆく上で、今回のチュニジア政変に関してどのように見ているのか、さっぱりわかりません。日本政府は、世界中で起こっている事件や事変を出来るだけしっかりフォローして、日本として何を支持し、何に反対するのかを、内外にはっきりさせてもらいたいものです。世界各地の政治や経済の動向に関する日本の専門家やジャーナリストの方々の見解も、もっと活発に発信してほしいものです。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム