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2011-02-14 22:31

「スマートパワー時代の日米関係」シンポジウムに参加して

宮崎 厚  ベンチャー企業顧問
 本日2月14日、日本国際フォーラムとグローバル・フォーラムが米国の戦略国際問題研究所(CSIS)と共催したシンポジウム「スマートパワー時代の日米関係」に参加させていただき、大変勉強になりました。ありがとうございました。皆様の議論のやりとりを伺っているうちに、「日米関係の現状」が垣間見えた気がします。そこで考えたことをお伝えします。

 現在の政治的世界情勢の中で、世界の軍事的パワーバランスや安全保障の面で日米が同盟することに、私は全く異存ありません。その中で米国は、様々な情勢判断から、軍事力や国防問題だけでなく、厚みと含みを持った同盟関係を模索するようになっていると感じました。そこで日本から見た日米外交のテーマについて、日本はもっとユニークであり、米国との違いを世界に打ち出す方が、日米同盟の意義を深めるのだと気づきました。日米がパートナーであるためには、米国の求めるソフトパワー、スマートパワーといった幅広い観点で、アジア・極東の日本が、米国の良き理解者である必要はあっても、日本が一方的に依存したり、寄り添って代弁するだけの国になり下がることは求められていない、との感想を持ちました。米国は、アジアのことだけでなく、世界のことに関しても、日本の意見や見識を必要としており、そのような米国にとって、同質の日本よりも、異質で異文化の日本のほうが、世界を相手にするときに、「日米同盟」の意義を高めるものだと思いました。世界を見たときの各国の多様性や、多極的な世界を相手にするには、米国は力づく外交に疲れています。世界の大小さまざまな国々の民族性や文化の多様性を受け入れる能力は日本の方が優れていると思います。

 「パワー」という表現はいかにも米国らしいですが、今後の世界情勢を考えると、米国はじめ、どこかの国が軍事力や資金力と言った「ハードパワー」だけによって全世界をリードすることはありえない時代が到来しています。民衆蜂起によって親米的な政権が倒壊したチュニジアやエジプトの状況から、米国もそのことに感づいている気がします。その点中国は遅れていて、未だに「ハードパワー」の構築にばかり熱心で、「ソフトパワー」の重要性には気づいていないようです。これからはますます外交的、経済的、人的(草の根的)な交流や、さらには各国間の地下水脈的な相互関係性のネットワークが、重要となってくるでしょう。

 今後の日米外交のきずなを一層深めるための日本の役割は、経済活動や人の交流、文化の融合などの面で、日本ならではの世界的相互関係性を深める仕組みつくり、ネットワークつくりではないかと思います。いくら強くて、個性豊かな人でも、個人が社会との接点を無くしたら生きてゆけないのと同様に、これからはどこの国も、それぞれ国際社会とスムースな交流無くしては、存続も発展も出来ないと思います。そのような仕組みを構築することが、世界中を平和に持って行く王道ではないでしょうか。逆説的かもしれませんが、世界を視野に入れて、米国との違いや役割分担を明確にしてゆくことこそが、日米同盟をより安定的で、発展的で、強固な同盟にしてゆく決め手ではないかと思いました。
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