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2011-03-22 09:54

(連載)世界に福島原発事故の正確な現状説明を (1)

角田 勝彦  団体役員
 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)の被害のうちもっとも海外で関心が高い福島原発(爆発事故)については、作業に当たった方々の献身的努力により、放水や通電で「冷温停止」の目途もついた。放射線量が減少すれば、避難指示も解除されよう。これを契機に、政府は国内(在京外交団経由)及び国外(大使館経由)において、世界への感謝を表明するとともに、具体的かつ客観的な大震災の現状説明を行うことが望ましい。これにより「放射能で汚染された日本」という好ましくないイメージを払底するとともに、技術先進国のイメージを回復することが可能だろう。脱原発論への反撃ともなろう。 

 3月21日朝で死者・行方不明者合わせ2.1万人余を数えるに至った東日本大震災に関しては、17日午後6時現在、117の国・地域及び29の国際機関から支援の申し入れがあり、多くの支援が実施されている。日本人の節度有る行動への海外マスコミの評価も高い。パリでの主要8カ国(G8)外相会議は15日、この大震災に対する各国の日本への「連帯」を明記した宣言を採択した。投機筋の動きで戦後最高値を更新した円高(17日のシドニー外国為替市場で1ドル=76円台前半)対策のためには、同日、日、米、英、カナダ、EUが円売り協調介入で合意し、日銀は円売りドル買い介入を実施して相場を80円台に戻した。

 このように諸外国における日本への好意と信頼は大きいが、例外として福島原発関係の措置についての懸念が広がっている。具体的には炉心溶融と放射能漏れについて日本政府と東電が真実を明らかにしているかへの疑念である。すなわち政府は、大震災のあと11日夜、福島第1原発圏内3キロからの退避を要請し、最終的には20キロ圏内からの避難 30キロ圏内の屋内待避を指示したが、17日以降、米(80キロ圏外への退避勧告)、英(80キロ圏外への退避勧告)、仏(出国または東京以南への移動)、イタリア(出国または東京とその以北からの退避勧告)、スペイン(120キロ圏外への退避勧告)、韓国(80キロ圏外への退避勧告)、台湾(高齢者、子供、女性に出国検討求める)などは、在日自国民に、これを上回る措置を勧告した。

 19日、食品のサンプル調査で、福島県内の牛乳と茨城県内のホウレンソウから食品衛生法の暫定規制値を超える放射性ヨウ素などの放射性物質が検出されたことについて、中国などは日本食品を輸入する際の放射能検査を強化した。なお国際原子力機関(IAEA)は19日「日本の厚生労働省は福島県産の全ての食料品の販売停止を命じた」 との誤った情報を発表した。(つづく)
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