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2011-03-26 16:38

今こそサマータイムを導入せよ

平林 博  団体役員・元外交官
 巨大地震と大津波、特に福島第一原発の事故を受けて、東京電力がカバーする広範な地域は、計画停電の最中にある。幸い、忍耐強い冷静な国民や企業の協力により、当面は最悪の事態は免れている。しかし、電力消費が急増する夏場に向けて、わが国の経済力を損なわないためにも、国民生活への犠牲を最小限にするためにも、ありとあらゆる節電対策を動員する必要がある。

 節電を促す切り札の一つは、サマータイムだ。欧米諸国は、4月ごろからの半年間のサマータイム制を導入している。米国では、別名 “Daylight Saving Time” だ。時刻を1時間ずつ繰り上げるだけであるが、昼が長くなり、夜9~10時ごろまで明るい。照明節約になり、家庭、企業ともに、経費節減効果が大きい。勤務時間が終わった後も明るいため、スポーツその他の活動で健全な余暇を過ごしやすくなる。人間も生物であるから、日の当たる日中に生活・活動し、夜になったら早めに就寝するのが自然の摂理にかなっている。

 筆者は、欧州諸国に4回計12年、米国に2回計4年半を過ごした。その時々で年齢も仕事も異なったが、どこでもサマータイムの来るのが待ち遠しかった。人々の不満も聞かなかった。午後9時や10時ごろまで、散歩からテニスやゴルフまで野外活動ができる。観光のできる時間も長くなる。サマータイムは、大きな節電効果があるのみならず、長い夏の季節を有効に過ごさせる。わが国でも、かつて占領下で試みられたが、その後放棄された。反対論の根拠は、(1)サマータイム下では、終業時間が来ても明るいため、残業を誘発ないし強化させる、(2)年2回の時計合わせが厄介である、(3)未成年者の深夜外出を助長する、などというものである。

 第1の理由は、労働組合などの論理だ。しかし、労働組合の強い欧州諸国でも、サマータイムは受け入れられ、定着している。第2の時間合わせは、一旦導入すれば、あとは慣れる。第3の未成年者の外出は、暗い夜が長いことこそがむしろ問題だ。サマータイムは、当面は、電力の供給能力不足を克服するための有力な手段となるが、中長期的には、電力消費の減少を通じて、地球温暖化対策の有力な手段となる。民主党政権は労働組合勢力には弱い面があるが、この国難を機に、真剣にサマータイムの導入を考えるべきである。
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