国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「百花斉放」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2011-07-22 14:06

(連載)海中ウラン採取技術の確立で日本はエネルギー資源大国になれる(1)

高峰 康修  岡崎研究所特別研究員 
 菅首相が記者会見まで開いて「脱原発」を宣言した挙げ句、批判を受けるや、「それは政府方針ではなく、私的見解である」と表明するといったお粗末さのおかげで、逆に、ヒステリックな、あるいは夢想的な脱原発論は、いささか下火になってきたように見える。ただ、安定的電源と しての原発の価値を正当に再評価するというまでには至っていない。再生可能エネルギーの導入は結構だが、そのためには政府の補助金が不可欠であり、導入率の目標を高く設定すればするほど、巨額な補助金が必要となり、そんな政策は財政的に持続可能ではない。結局、原発のような安定的電源に、再生可能エネルギーを補助的に組み合わせる、といったところが妥当な落ち着き先であろう。

 しかし、原発にも、資源の枯渇という制約は付きまとっている。すなわち、陸上のウランの埋蔵は無尽蔵ではなく、現在の確認可採埋蔵量は約550万トン(可採年数にすると100年)だが、今後、新興国や途上国において原発建設ラッシュが起これば、ウランの価格が高騰することが予測される。

 この状況を一変させてくれる可能性を持つ技術が、海洋からのウラン採取である。ウランは、海水1トン当たり、約3ミリグラム含まれており、地球上の海洋全体での推定存在量は約45億トンといわれる。しかも、海底の岩盤からは常にウランが染み出しているので、海中のウラン濃度は一定に保たれており、事実上、無尽蔵である。そして、重要なことは、我が国の近海には、これが、黒潮に乗って運ばれてくるということである。

 黒潮によって日本近海に運ばれるウランは、年間 500万トン強であり、その0.2パーセントを採取すれば、現在の日本の原子力発電に必要なウラン1年分を確保できるという計算がある。しかも、黒潮は、我が国 の排他的経済水域内を流れている。したがって、黒潮に含まれるウランを採取することで、我が国は、一転、エネルギー資源大国となることができる。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『百花斉放』から他のe-論壇『議論百出』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
公益財団法人日本国際フォーラム