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2011-09-29 07:04

「洗脳講演会」で「マルチ山岡」の真骨頂発揮

杉浦 正章  政治評論家
 山岡賢治の国家公安委員長起用を「泥棒が、泥棒を取り締まるということだ。これでも適材適所ですか」とは、よく言った。さすがに自民党参院議員・森雅子の追及は、マルチ商法専門弁護士だけあって見事なものがあった。ささやかれる山岡のマルチ商法との癒着ぶりを白日の下にさらけ出したのだ。森が 「Youtube にある」と指摘した同商法で有名な食品販売会社の講演会における山岡の演説を見ると、まさに「マルチ山岡」の真骨頂であり、マルチ商法関係者への激励に徹している。いかに民主党の政治家がうさんくさいパチンコ、マルチ両業界に、その資金源を依存しているか、という構造的問題が浮かび上がる。

 自ら赤貧の家庭に生まれて、マルチの犠牲者の悲惨な姿を目の当たりにしてきたという森の追及は「すさまじい」と言ってよいものであった。山岡はわざと「カエルの面に水」の平静さを取り繕ったが、次々と出される強烈パンチに、恐ろしい「辞任」の2文字がひょっとしたら頭をよぎったかもしれない。森はまず山岡が「マルチにも、よいマルチと悪いマルチがある」と述べたことをとらえて、参考人に質問した。悪徳商法被害者対策委員会会長・堺次夫は「公正なマルチというのは、無害なペスト、安全なコレラと言うに等しい。マルチ商法の本質はネズミ講」との見解を述べた。

 次いで森は Youtube で報じられている、食品会社「ナチュラリープラス」の講演会での山岡演説を追及した。消費者庁当局の答弁によると、同社に関する苦情相談は2008年225件、11年196件、12年90件にも登るという。怠慢にもマスコミにはネグレクトされるだろうから、筆者がYoutube を見てみると、山岡演説はまるで「マルチ洗脳講演」そのものだった。答弁での「頼まれれば、多少のよいしょをする」などという範囲を大きく逸脱している。山岡は「自分のすきな時間にすきな仕事をして価値をもらう。びっくりしました。極めて合理的だ」「皆さんには是非誇りと使命感を持って今の仕事をやっていってほしい。そうすれば日本は生き返る。そういうことをやる人が革命児だ。」とぬけぬけとマルチ商法を礼賛・奨励した。加えて「皆さんは『あの人はネットワーク(マルチ商法)をやっている』と言われる。そういう誤った知識を持っている人たちはそういう見方をするかも知れないが、誰かが打ち破っていかなければならない」と出席者を“鼓舞激励”、拍手まで強要しているのだ。確かに森が「予算委でYoutube の映像を検証せよ」と主張する意味が分かる。もっとも予算委員長の石井一もかねてからマルチ疑惑が根強く、「マルチずぶずぶ委員会」では解明は無理かも知れない。

 山岡はマルチ商法業者からの献金を「返済する」と閣僚になってから言明したが、癒着の構図が明らかになった以上、「返せば、済む」という話ではあるまい。また「マルチ山岡」の業者との関係はかねてから有名であり、当然、組閣前の関係機関の“身体検査”でも報告されているはずであろう。それを無視して野田が閣僚に任命、こともあろうに、マルチを取り締まる警察を司る国家公安委員長と消費者担当相としたのはなぜか。永田町で言われているように、8月の小沢一郎との極秘会談で「山岡入閣」を強く要請されたからなのか、という疑惑が生じてくるのだ。そうだったのならば「無理な人事」の根底が見えてくる。「総理、こういうことを取り締まるのは警察でしょう。その警察の最高指揮官は国家公安委員長ではないんですか。その公安委員長が山岡大臣では、泥棒が、泥棒を取り締まるということになってる」という森の追及は、誰もが疑問を抱く「解せない人事」と首相の任命責任をくっきりと描き出した。野田は「事実関係は本人にも確認させていただきたい」と山岡から事情を聞く意向を示した。一方で、山岡罷免要求には「職責を果たしてもらいたい」とも述べた。まだまだ深刻さが分かっていない。
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