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2012-02-02 11:14

大学秋入学は日本の学制を変える絶好のチャンス

大藏 雄之助  杉並区教育委員長
 大学秋入学で一番問題になるのが高校卒業から入学までと卒業後就職までのおのおの約半年の期間であろう。卒業後のことは心配いらない。まず、卒業生は成人である。それに、順調にいっても10年後のことであり、すでに官庁も企業も対策を考慮するといっている。東大卒が公務員離れを起こしたら中央省庁は成り立たないだろう。民間側はもっと楽観できる。会社の従業員全部に定年制が適用されるようになったのは戦後のことだという。それとともに一斉採用が取り入れられ、社内訓練を通じて終身雇用制度が確立した。

 ところが今やグローバル化の時代、能力ある者はスカウトを受けて転職し、無用とみなされれば容赦なくリストラされる。アメリカは言うに及ばす、ヨーロッパでも初任給は1人1人違う。その後も長期勤続による忠誠心などは何の役にもたたない。出身校の偏差値に期待する大会社の4月一斉採用は遠からず消滅する運命にある。しかし、3月に高校を卒業して、入学試験には合格していながら学生の身分証明書もない未成年はどうなるか。

 東大ではその半年を活用してボランティアや海外旅行などの経験をしてもらいたいと気軽に発言しているが、そうはいかない。イギリスでは「ギャップターム」と称して入学前に種々の経験を積むことがはやっている。だがそれはあくまでも自発的なものであって、日本の秋入学のように全員に強要されるのではない。東大合格者の保護者の平均所得は他大学に比べてずば抜けて高い。だから、適切に指導すれば、入学待ちの青年は効果的な準備期間とすることが可能かもしれないが、家庭に余力がなく、奨学金を当てにしている者たちは戸惑うばかりであろう。いい加減なアルバイトをしていたら、9月の入学時に学力も意欲も低下している事態になりかねない。

 かといって、春入学と秋入学の大学が混在することになれば学校教育は大混乱に陥る恐れがある。この矛盾を解決するためには断固として小学校から高等学校までの新学年も9月に改め、長期の夏休み前の卒業に変更しなければならない。これはそれほど難しいことではない。発想を変えればできる。これは日本の学制を根本的に変える絶好のチャンスである。
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