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2012-09-09 21:32

家庭における主婦の役割を再認識しよう

松井 啓  元駐カザフスタン大使
 日本の「古き良き時代」には各家庭には「母ちゃん」と「ばあちゃん」が頑張っていた。「母ちゃん」は家計を取り仕切り、3度の食事の栄養バランスを考え、亭主と子供の弁当を作り、子供が学校から帰れば悩みを聞いてやり、やって良いことと悪いことをしっかり教え、宿題を手伝い、悪い友達と付き合っていないか気をつけてやり、友達を引き連れてくれば「おやつ」をふるまった。「母ちゃん」はいつも家に頑張っていて一家の中心であり、家庭をしっかり守った。子供は「母ちゃん」がいるから安心して学校に行き、安心して家に帰って来て「おやつ」で空腹を満たした。

 夫は「母ちゃん」が家にいるから安心して「会社」に行き、時には遅くまで飲み歩いた。「母ちゃん」は優しくもあり、また、怖い存在でもあった。戦後アメリカの影響もあり、男女平等の思想が普及し、女性が男女同権の証とばかり社会進出することが一般的となった。大都会では住宅事情の制約もあり、核家族が普通となり「母ちゃん」は「ばあちゃん」の手助けを当てにできなくなった。「母ちゃん」の呼び名も「お母さん」そして「ママ」となって、専業主婦は時代遅れで、働きに出ないのは一人前の女性ではない、ような風潮となった。家庭を守るという女性の最も重要な役割は、あたかも社会的価値がないがごとくに軽視されてしまった。更に少子高齢化の社会では女性の一層の職場進出が奨励されているようだ。

 他方、親による子供の放置、虐待、食事を与えないことによる餓死、子殺し、逆に子供による親殺し、学校における子ども同士による陰湿な虐めと、それによる自殺の多発、自動車によるひき逃げ、万匹、ひったくり、振り込め詐欺、善悪の区別ができなくなった「誰でも良い殺人」等々、昨今の腐った社会現象の大きな原因は、さかのぼれば家に要となる「母ちゃん」がいなくなり、まともな子育てをしなくなった結果から出現した新世代によるものではないだろうか。

 もう一度家庭の主婦の役割の重要性、家族内の親子や兄弟のきずなの大切さや、子育ては社会の基盤を作る重要な任務(権利であり、義務)であることを再認識し、少なくとも子供が小学校を卒業するまでは、母親が家庭に留まり、安心して子育てができる社会的システムを構築すべきである。託児所、保育園や幼稚園は決して「母ちゃん」の代わりはできない。「母ちゃん」による子育てを男親に代わってもらうことはできない。子供は母親に甘えて(時には怖れて)、育って行くものではないだろうか。このような母親の家庭復帰を支えるシステムを作ることは、それに対応する職場の再構築、諸手当や保証等を含む関連諸制度の改訂、財源の確保について国民的議論により一つひとつ解決して、母親が「母ちゃん」の役割を取り戻し、子育てに専念できる社会を作っていくことが、長い目で見て足腰のしっかりした日本を再生することにつながるのではなかろうか。
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