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2012-10-16 21:13

在外日本人学校生徒の安全は大丈夫か

金子 弘  日本学習社会学会会員
 日本政府による尖閣諸島の国有化に反対して中国各地で起こったデモが一部暴徒化して、日本の企業や公館に被害が出たことは記憶に新しい。だが、中国には多数の日本人が滞在し、その子供達が日本人学校で学修していることは、忘れられがちである。文部科学省の発行している『アジアの日本人学校一覧』によれば、日本人学校は中国では北京、上海、蘇州、広州、深圳、青島、香港等にある。これらの都市では、今回大規模なデモが発生し、一部では暴徒化したところもある。今回は、大規模なデモが起こることを見込んだ日本人学校が臨時休校としたこともあり、幸い児童生徒に被害はなかったようである。

 こうした中、内閣府が昨年10月に実施した「外交に関する世論調査」を見ると、海外での日本人の保護や支援のあり方について、「いかなる場合であっても、政府や大使館・総領事館が保護や支援をすべきだ」と答えた者は27.9%、「個人または派遣元企業・団体が各自の責任で対応できるような場合であっても、政府や大使館・総領事館が積極的に保護や支援をすべきだ」と答えた者は27.8%おり、両者を合わせると、国民の半数以上が海外での緊急事態の際に、日本政府が積極的に保護や支援をすべきであると考えていることがわかる。

 他方、文部科学省『在外教育施設の概要』によると、日本人学校は、平成23年4月15日現在、世界51カ国・地域に88校(休校中の1校を除く)が設置されていて、約1万9千人の児童がそこで学んでいる。経済のグローバル化が進むなかで、日本人が海外に滞在し、その子供達が現地の日本人学校に通うことは今後、より一層増えるものと考えられる。その場合、日本人学校施設内の安全確保もさることながら、同時にそれ以上に通学時の安全確保が難しい問題となると考えられる。現地の治安維持態勢に大きく依存せざるを得ないからである。

 こうしたことから、文部科学省は外務省と連携し、平素から現地の情勢等を的確に把握して、日本人学校に通う児童生徒の安全の確保を最優先に、迅速かつ的確な対策を取り、またその状況をできるだけ正確に現地の日本人学校の校長や保護者に知らせるべきである。また、文部科学省は、ホームページやメディアを介して、海外に人材を派遣している日本企業や日本国内にいる現地日本人の親類・知人等にも対策がしっかりと理解されるよう広く知らせるべきであると考える。
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