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2012-12-11 01:31

留学生半減の対策はいかにあるべきか

宮崎 厚  ベンチャー企業顧問
 12月10日付け本欄への鍋島敬三氏の投稿「留学生半減は国家の損失」について、その問題意識には賛同しますが、対策については、要検討だと思います。留学生半減の根本原因は、国内政治・政策にあると考えるからです。

 日本社会の横並び意識に基づく「格差解消」議論の結果、所得再配分が政治の役割とされているため、年収500万円を超えると、所得税、住民税、社会保険料、雇用保険料等が累進的に増加するため、子供を留学させる余裕のある親が少なくなってきたということだと思います。現在の日本では、福祉国家形成の名のもとに、国家権力によるすさまじい庶民の絞り上げがが行われています。日本社会の最大の矛盾は、いったん「生活保護者」の名目で入院してしまえば、だれでも最高の生活保護財産蓄積ができるところにあります。所得税、住民税、社会保険料はいっさい支払う必要がなく、医療費は全部無料の上、電気代、ガス代、NHK受信料も免除です。

 もちろん日本の社会で餓死する人を出すようなことは許されません。真に生活保護の必要な方にはたっぷり援助するべきだとは思います。しかし、中間層が負担に閉口している一方で、給付を受ける人ばかりが権利を主張する社会は、何かおかしいと思います。欧米で、高額所得者に対する増税が議論されていますが、高額所得者とは年収1億円以上のレベルです。米国では100万ドル以上、ヨーロッパでも100万ユーロ以上です。しかし、日本では年収500万円以上が金持ちとみなされ、そこから先は累進的な負担を強要されます。現実的に、私も自分の子供を留学させることはできませんでした。私自身も若いとき留学してみたいと思っていましたが、奨学金をもっらっていた状況で、両親に負担させることはできず、留学など不可能でした。

 この問題については、やはり日本は国内体制を変える必要があります。「格差解消」「福祉国家」「子ども、女性、老人、未成年者のための政治」などとは言わず、「現役で社会を構成している働く人々のための政治」と路線を切り換えなければなりません。すべての施策面で、社会の命運を背負っている20代から60代までの現役の職業人のための政治に切り替えなければ、結果として子供、女性、老人、若人に恩恵が及ばなくなります。日本の現状では一般の普通のサラリーマンの可処分所得では、子息を海外に留学させるのは無理だと思います。だから、豊かで余裕のある家庭を少しでも多く作るためには、全体のGDP成長論よりも、個個人の可処分所得倍増論こそが重要なはずですが、総選挙を前に、減税や負担の軽減を唱える政党が一つもないのは残念なことです。「日本にその子息を海外留学させられるような裕福な家庭をできるだけ多くつくろう」といったような政策を掲げる政党は見当たりません。
 
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