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2013-03-18 11:39

(連載)日中韓サミットでは、まず信頼関係の醸成を(2)

角田 勝彦  団体役員
 北朝鮮問題では、3月6日の日韓首脳間の初めての電話会談で、北朝鮮の核実験強行を巡る国連安全保障理事会の制裁決議案の採択に向け緊密に連携する方針が確認された。14日夜、岸田文雄外相は、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)・新外交通商相との初の電話会談で、国連安全保障理事会の北朝鮮に対する制裁決議の完全な履行が重要であることを確認した。北朝鮮に伝統的に寛容な姿勢を示してきた中国の対応に変化の兆しがある(オバマ大統領言)とされるが、中国政府が税関や交通、金融などの関係機関に決議履行を指示する通達を行っていたことが明らかになるなど北朝鮮の国民生活に人道上の影響が出ない範囲で、これまでより厳しく決議を履行する方針とみられている。決議の実効性の鍵を握る中国の動きが日中韓サミットでも注目されよう。

 環境問題(黄砂や微粒子状物質PM2・5による大気汚染含む)はいうまでもなく3国共通の関心事である。15日夜のNHK番組で安倍首相は「3カ国の会談ができれば、外交的にも地域の安定にとっても大変プラスだ」と述べた。中国の習近平(シージンピン)国家主席との首脳会談についても「中国は尖閣諸島周辺で挑発的な活動をしているが、そういう問題があっても首脳間の交流はすべきだろう。常に対話のドアは開いている」と述べた。

 東南アジア諸国訪問、訪米(2月22日オバマとの首脳会談)、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加への政治的な決断に続き、行うべきは中韓両国との関係修復だろう。安倍首相は六年前の就任後、中国との「戦略的互恵関係」を掲げて、小泉政権で悪化した関係の改善に努めた。民間も期待している。日中経済協会(会長・張富士夫トヨタ自動車会長)が、中国・北京へ3月21~23日の日程で訪中団を派遣する方向で最終調整に入ったとの報道もある。日本が持つ省エネルギーや環境技術を通じた連携強化を呼び掛ける方針の由である。

 米国も関心を示している。米国務省は14日、ケリー国務長官が4月中旬、日中韓3カ国を訪問すると発表した。ロンドンで4月10~11日に開かれる主要国(G8)外相会合の終了後に日中韓に向かい、オバマ外交の柱であるアジア重視の継続を説明し、連携を求める由である。この地域の安定は世界の関心事なのである。日本外交の力量が問われている。(おわり)
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