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2006-12-19 11:35

ピークオイル論について

十市 勉  エネルギー研究者
 日本国際フォーラムがさる5月8日に発表した第27政策提言「国際エネルギー安全保障体制の構築」に対して、「根拠もなしにIEAの後期ピーク論をピークオイル問題の代表論であるかのように取り上げて表現するのは誤解を招くものです」云々との批判が寄せられていますので、この提言のタスクフォースに参加した一員として、改めてピークオイル論についての私見を述べさせて頂きます。

 まず、政策提言で取り上げたIEAによる世界の石油生産ピークに関する3つのシナリオは、世界の主要な油田ごとの非常に詳細なデータ等をベースに分析したものであり、十分な裏づけを持ったものです。確かに、北海や米国など先進地域での原油生産はピークを過ぎ、その他の非OPEC地域の生産も徐々にピークに近づいているとの点では、多くの専門家の間で多数説になりつつあります。しかし、これから5-10年で世界の石油資源が物理的な枯渇からすぐにピークに達するとする意見は、説得力がないと思います。何故ならば、中東やアフリカ、旧ソ連圏、深海や極地域などの確認済みおよび未発見の埋蔵量を開発すれば、増産が可能です。問題は、これらOPECやロシアなどが、開発に必要な投資をタイムリーに行うかどうかです。したがって、ピークオイルは、資源の availability の問題ではなく、開発に関わる deliverbility の問題です。

 石油が化石エネルギーである限り、その生産はいずれは横ばいに転じるのは避けられません。その時期は、早ければ2015年、遅くても2035年というのがIEAのシナリオ分析のメッセージであり、本政策提言もそのような不確実性に対するリスク管理の考え方を前提に、エネルギー供給源の多様化と分散化、省エネルギーの促進などの政策を提言しています。
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