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2007-01-08 10:25

連載投稿(2)アメリカの過ち

松元洋  NPO日本救援行動センター(JARC)代表
 ではなぜこのような恐怖政治が23年と長期につづいたのであろか。答えは、サダムが油田を一切押さえ、石油の上がりだけで軍隊、公務員に高いサラリーを支払い優遇し、また社会福祉政策をとおし一般国民にも余裕をもたせていたからである。多数の中流以上の家庭では、エジプト、シリアなどからのアラブ人、またインドネシア、フィリピン等からのアジア人を使用人として雇っていた。

 サダムは80年代、イランと戦ったわけであり、決して原理主義的な立場はとっていない。体制維持と国益追求が政策の基本であり、国民が経済的余裕をもっで欧米流の生活にあこがれ、若者がアメリカの流行、映画に熱狂することなどには、あまり気にかけなかった。

 バクダッドの市民には、サダムの横暴を苦々しく思いながらも、政治的問題に触れることを避けながら、毎日の生活に満足している様子があった。ここに荒波を引き起こしたのは、サダムの強引な1990年のクエート進攻であった。サダムは事前に米大使との話し合いで容認されていると判断し攻撃に踏み切ったといわれる。ところが国際社会から激しい非難を受け、1991年に米軍に叩かれ敗退を余儀なくされた。サダムの米国不信は根強いものとなり、他方米国もサダム制裁に走った。

 本来、イラクとイランの間には領土問題があり、またサダムのスンニ派とイランのシーア派という対立関係があるにもかかわらず、クリントン政権がイランとイラクに対し二重封じ込みの政策を立てたのは、大きな過ちであった。(つづく)
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