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2007-01-16 18:27

東アジア経済圏構想の落とし穴

伊東道夫  会社員
 2007年幕開けと共に、安倍首相の外交活動が活発になっている。1月14日にはASEAN首脳会議に出席する為、東南アジアへ赴き、そこで先ず日中韓首脳会談に臨んでいる。首脳会談では、北朝鮮の核実験の問題、拉致問題なども意見交換されたようであるが、景気の問題や経済協力についての意見交換があまりなされなかった事である。今年は日本経済にとっても景気の風向きは大変重要な事である。特に日本がいかに東アジア経済圏構想を推進し、経済発展に寄与できるかは、国内外が注目するところである。

 しかし、気になるのは、日本企業の動きである。日本企業は労働賃金の安い中国に生産拠点を移し、生産活動を行ってきた。これは日中双方の企業にとってコスト削減、先進技術導入、外貨獲得などメリットがあり、日中両国の関係維持にも大きな役割を果たしてきた。ただ、最近中国主要都市の労働費のアップ、税金などの優遇処置の削減、土地借用費用の値上げなど、企業を取り巻く環境が少しずつ厳しくなってきて、日本企業は更に労働賃金の安いベトナムやインドなどへ生産拠点を移転しようと考えている。と同時に、中国の各種(国営・合弁・独資など)企業も資金力の強化、技術力の向上、マネージメント力の向上などを武器にやはり東南アジアへの進出を始めている。

 そこで、懸念されるのが日本企業の生産拠点の東南アジア、インドへの移転により中国経済発展の推進力が低下しないか、また中国企業と日本企業の東南アジアにおける投資合戦により、現地での主導権争いにならないか、ということである。中国が東南アジアで大きな影響力を持つ事になれば、東アジアはEUのような総合的な経済発展を期待できないかもしれない。先ずは、日中韓が経済発展の協力関係と政治的繋がりについて、今一度良く意見交換を行い、より良い関係構築に努め、東アジア経済圏構想の推進に向けて努力を行ってもらいたい。それが、つまりは東アジアの安定的経済発展と平和的互恵関係を築く基礎になるのである。今回の日中韓三国首脳会談が良い方向へ動き出す事を切に望んでいる。
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