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2015-08-03 11:30

(連載1)今こそアベノミクスの成功に注力すべき

角田 勝彦  団体役員、元大使
 7月27日から始まった安全保障関連法案の参院での審議で、安倍首相は「絶対」「断じて」「いささかも」と断言を連発しているが、信用されていないようで、安保関連法案への理解(賛成)は広がっていない。第2次安倍内閣発足以降初めて不支持率が支持率を上回っている、公明党も党内の強い反発があることから腰が引けている。

 安倍首相は戦後レジームの総決算をめざし諸方面で猛進しているが、中心はアベノミクスと安保関連法案だろう。そして国民にとってより重要なのは、良くなりかかった日本経済を左右する前者である。それに暗雲がかかってきた。景気停滞感が強まっている。外的要因も7月の中国景況指数下落や7月末のTPP見送りのように好ましくない動きが見られる。国民の反対、とくに今国会での成立について反対が多い安保関連法案の無理な国会通過に血道を挙げるより、アベノミクスの成功(復興などを含む)に全力を挙げることこそ安倍首相が後世に名を残す道ではないだろうか。

 安保関連法案が「わが国を守るために必要な措置かどうかを気にするべきで法的安定性は関係ない」との7月26日礒崎陽輔首相補佐官発言が物議を醸している。8月3日の参院特別委員会に、首相補佐官として初めての、参考人として呼ばれることになった。野党は安倍内閣の「本音」として厳しく追及する方針で公明党も不快感を示している。一波乱あるかもしれない。床屋政談を行うつもりはないが、問題は「集団的自衛権(他衛のための海外における武力行使)」が必要かどうかではなく、違憲か合憲かである。法治国家の日本では、違憲であればいくら必要と主張しても押し通すことはできない。

 政府は、歴代法制局長官が過去の国会答弁で否定してきたのは「フルスペック(全部)の集団的自衛権のみ」で「集団的自衛権の限定容認」を否定したことはないとの認識を示し、安保関連法案は合憲と主張している。法律が少しだけ違憲ということはあり得ない。違憲か合憲かである。それに「限定」の内容は最後は具体的事例による政府の判断次第とされる。まさに「蟻の一穴」を狙っている。(つづく)
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