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2015-11-16 11:09

ロシアと米欧は、対テロ戦争で一致団結せよ

飯島 一孝  ジャーナリスト
 ロシアのエアバスA321型旅客機が10月31日、エジプト東部のシナイ半島で墜落、乗客乗員224人全員が死亡する事故が起き、イスラム過激派によるテロ説が強まっている。実はその事故の直前に実施された世論調査で、ロシア国民の半数が「近くロシアに対し、テロ攻撃が行われる」と思っていたことが分かった。また、そのテロはイスラム過激派「イスラム国」(IS)が起こすと思っていた人が多かった。この調査は、ロシアの中立系世論調査機関レバダ・センターによって10月23日から26日にかけて全国で1600人を対象に実施された。つまり、この調査は墜落事故の約1週間前に行われていたことになる。そして、「近くテロによる攻撃が起きる」と思っていた人は48%にのぼっていたのだ。

 さらに、テロ攻撃が起きると思っている人たちに「テロ攻撃を起こすのはどんな組織か」と聞いたのに対し、76%が「イスラム国」と答えていた。2番目に多かったのは「国際テロリスト」で39%、次いで「ロシア北カフカス地域(チェチェンを含む)のテロリスト」で26%。4番目は「ロシアの過激派」で17%の順だった。また、「あなた又はあなたの近親者がテロ攻撃の犠牲者になると思うか」との質問に対し、「非常に心配している」、「少し心配している」と答えた人は合わせて58%にのぼった。「自分にも近親者にもそんなことは起きない」「考えたこともない」と答えた人は40%だった。

 同じ世論調査機関が10月上旬に実施したロシア軍によるシリアへの空爆に対する調査結果では、ロシア国民の7割が空爆を支持していたものの、旧ソ連が軍事介入し、撤退を余儀なくされたアフガニスタン戦争の“二の舞”を心配する国民が多かった。また、空爆を行った理由についての質問では、「シリアのアサド大統領を支援するため」とみている人が47%と一番多かった。今回の調査は、ロシアによる空爆で「イスラム国」などのテロ攻撃を受ける恐れが高まっている中で実施され、国民の大方の予感通り、ロシアのエアバス機が攻撃を受けて墜落、乗客乗員全員が死亡する惨事となった。そうした国民感情がわかっていただけに、プーチン政権はテロ攻撃による墜落説を受け入れたくなかったのだろう。だが、テロ攻撃を裏付ける事実がいくつも出てきて、プーチン政権も認めざるを得なくなった。

 中東のイスラム過激派は、フランスとの「戦争」に踏み込むなど、悪質なテロによる強硬路線を突っ走っている。この動きを止めるには、ロシアと米国など西側諸国が協力し、総力を挙げて過激派対策を推進するしかない。今こそ、双方がこれまでのようないさかいをやめて一致団結する時だろう。
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