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2016-05-11 11:07

日露首脳会談を見て感じたこと

飯島 一孝  ジャーナリスト
 安倍首相は5月6日、プーチン・ロシア大統領とロシア南部のソチで非公式の首脳会談を行った。会談後、首相は記者団に「停滞していた北方領土問題の解決に向け、手応えを得た」と語り、事態打開の突破口を開いたとの認識を示した。首相は「大統領も同じ考えだ」と述べたが、ロシア・メディアの扱いが悪く、首相の片思いに終わる可能性もありそうだ。インタファクス通信によると、安倍首相は会談でプーチン大統領に、エネルギー開発や極東地域の振興策など8項目の経済協力を提案した。領土問題へのロシア側の頑なな態度を改めるには、経済発展に向けた経済協力が不可欠とみられていた。とくにエネルギー開発では、LNGプラントの建設を挙げていて、ロシアの琴線に触れるとの観測もあった。

 安倍首相は「領土問題で突破口を開けた」と自画自賛しているが、その根拠については明らかにしていない。逆に、ロシア紙「ベドモスチ」は「突破口は開いていない」との専門家の発言を掲載している。経済協力の提案は一定の効果を上げたとしても、これだけでロシアが領土問題で軟化するとは考えられない。むしろ、ロシア側は提案を精査したうえで、今後様々な要求を突き付けてくる可能性がある。

 また、安倍首相は、年内に予想される国際会議を利用して計3回の首脳会談を行うよう、プーチン大統領に提案した。さらに、昨年来、延期されているプーチン大統領の訪日を実現させる考えとみられる。安倍首相は「できるだけ頻繁に会えれば、それだけ実現が可能になる」と大統領に語った、とインタファクス通信は伝えている。一方、ラブロフ外相によると、安倍首相は2018年を日本におけるロシア年、ロシアにおける日本年とするようプーチン大統領に提案、大統領もこの提案を支持したという。

 だが、ロシア側の首脳会談についての反応は全体的に鈍いといえる。ロシア国営のタス通信は首脳会談についてほとんど報道していない。インタファクス通信は報道しているものの、扱いは決して大きくない。首脳会談が現地時間では夜中にずれ込んだとはいえ、報道が少ないのは首脳会談を重視していない証拠ともいえそうだ。
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