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2017-02-08 13:37

トランプ大統領令とルーズベルトの日系人強制収容大統領令

山田 禎介  国際問題ジャーナリスト
 トランプ米大統領の「中東アフリカ7か国国民の一時入国禁止」という「大統領令」について、米司法当局の合憲・違憲判断の行方が注目されている。ここでは同様のケースがあったことを、とりわけ日本人は忘れてはならないと思うので、指摘したい。それは平洋戦争勃発時にフランクリン・ルーズベルト米大統領が布告した「日系人強制収容」大統領令のことである。

 この1942年の「日系人強制収容」大統領令は「違憲」であるとの声が、当時カリフォルニア州内で米市民の間から沸き上がったが、それを「合憲」であると支持したのが、当時のカリフォルニア州司法長官で、のちの米最高裁長官になったアール・ウォーレンであった。ウォーレン最高裁判事の名前は、日本では1963年のケネディ大統領暗殺事件の調査「ウォーレン報告」で初めて耳にした名前であり、当時の報道では「もっともリベラルな米最高裁判事」とのマスコミ評であった。

 筆者が注目するのは、この古いルーズベルト「日系人強制収容」大統領令でも、今回のトランプ大統領令でも、米国内でいずれも「違憲」とする声が沸き上がったことである。時代が変わっても「米民主主義の良心は変わらない」と確信する。

 しかもこの「日系人強制収容」大統領令とウォーレン判事の関係について、改めて報じたのも、1960年代後半のアメリカのメディアCBSテレビであった。とかく日本人が陥りやすいのは「リベラル」「保守」と単純に色分けしたがる心理だ。リベラル、保守の色分けを論議するより大事なことは、裁判官の「良心」の行方である。ウォーレン判事は、のちに「日系人強制収容合憲判断は誤りであった」と謝罪している。保守がリベラルに転じた例である。今後のトランプ大統領令の合憲、違憲判断の行方だが、最終的に米最高裁判事のリベラル、保守の色分けだけで憶測するべきではないだろう。
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