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2017-12-01 20:09

サンフランシスコ市の慰安婦像受け入れは中国世論戦の成果

四方 立夫  エコノミスト
 サンフランシスコ市が慰安婦像の受け入れを決定した。中国系及び韓国系団体が中華街近くの民有地に像を設置し、その像のある民有地を市に寄贈することを市議会が全会一致で採択し、市長がその採択文書に署名したものである。将に中国の所謂「三戦」の中の「世論戦」の成果である。

 中国は共産党大会以降、「日中関係改善」を図り早々に経団連の大ミッションを受入れ、李克強首相が笑顔でこれを迎える写真が大写しになっている一方、我が国の同盟国の国民に対しかかる反日活動を展開し、有事の際の米国の介入を妨げんとしているものである。米国では既に「慰安婦の碑」「慰安婦像」が各地に設置されており従来は基本的に韓国系アメリカ人が推進したものであったが、今回は中国系団体が加わり、かつ像が韓国、中国に加えフィリピンの少女が手を繋いで立つデザインであることに政治的意図を感じざるを得ない。
 
 日本人はかかる問題が発生する度に正攻法で抗議を行ってきたが、一般の米国民の一部の間では「日本では今でも女性は差別されている」との「批判」と慰安婦の件とが混同され、事実関係の確認のないまま悪いイメージだけが先行していることが危惧される。3年程前に日本国際フォーラムに於いてオハイオの大学教授が講演された際、「日本人は外交はワシントンで決まると思っているが、実際はオハイオを始めとした地方で決まる」「日本人は製品を売りこむのは得意だが、自分を売りこむのは苦手である」「オハイオの雇用の10%は日本企業によるものだが、そのことをアメリカ人は誰も知らない」と話されていたことが印象に残っている。

 日米関係の重要性を本当に理解しているのは米国では一部エリート層に限られ、一般大衆の中には「日本、中国、韓国は同じ言葉を話している」と思っている人々も数多くいる中で、政官民を挙げて日本のイメージ戦略を広く米国民に対し展開していくことが民主主義国米国との同盟関係を維持、強化していく上で喫緊の課題である。合わせて、中国が新たに再開した「微笑外交」は「衣の下の鎧」を隠すものであることを忘れることなく、短期的な利益に惑わされず、是々非々で付き合っていくことが肝要である。
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