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2018-01-09 21:12

激動の年2018年を迎えて

四方 立夫  エコノミスト
 激動の年2018年が幕を開けた。年央には北朝鮮が米国本土を射程に収めたICBMを完成、中国は「一帯一路」を本格的に推進、そして米国は中間選挙を迎える。昨年、我が国は米国がTPPからの撤退を表明する中でTPP11の大筋合意及び日EU EPA合意を成し遂げ、トランプ大統領が安倍首相が一昨年に提唱した「インド太平洋戦略」をアジア歴訪の際に提示するなど大きな成果を上げたが、本年は将に日本の安全保障にとって正念場を迎える。従来日本は日米安全保障条約において「米国に巻き込まれる」ことを心配してきたが、今後は米中及び米朝直接対話により「米国に置き去りにされる」ことなく、逆に「米国を巻き込む」ことに腐心しなければならない。トランプ大統領は常に「晋三は何をしてくれるのか?」を問いているとのことであるが、日本自らがその総合力を高め、安全保障に関する主体的役割を明確にし、日米同盟がトランプ大統領にとってメリットが大きいものであることを常に示し続けなければならない。

 既に従来からのミサイル防衛能力の強化に加え、巡行ミサイルの配備及び電子攻撃機の導入が検討され、防衛大綱の見直し、そして憲法改正が真剣に議論されているが、それに加え日本の防衛産業の育成が必要不可欠である。従来防衛産業には日が当たらなかったが、日本が得意とする潜水艦や機雷掃海に加え、宇宙、サイバー、AIの分野に於ける科学技術の振興並びに米国との共同開発、そして武器輸出振興による価格競争力の強化が喫緊の課題である。防衛産業に於いてはともすればそのコストの面が軽視されることが間々あるが、今後我が国の防衛力を強化していくには優れた技術と安価なコストが必要不可欠である。その為には政官民が一体となり、特に民の力を最大限活用し輸出競争力のある製品を製造販売していくことが防衛産業の育成にとって重要である。これにより米国を始めとする同盟国/友好国との間で武器製造に関するSupply Chainを構築し、高品質な部品~中間製品~完成品を安く効率的に製造することが関係国全てにとって安全保障上大きなメリットとなる。

 昨年秋の中国党大会以降、日中関係「改善」の動きがみられるが、中国はあくまでもLiberal Democracyのルールに対する挑戦者であり、我が国としては自由と民主主義の守護者として同国とは是々非々で付き合うと共に、同国の民主化運動には主に民間レベルで支援をし、将来的に中国が胡錦涛時代のように部分的であれ自由化/民主化が進むように応援していくことが我が国の国益に適うものである。又、既に実質的に核保有国となったと思われる北朝鮮に対しては、いかなる形であれ米国による先制攻撃は我が国に甚大な被害を及ぼす可能性があることから、既に保有した核を絶対に使わせないための抑止力の強化と、海上臨検を含む経済封鎖により嘗てソ連邦が崩壊したように北朝鮮の経済を崩壊させ体制変革を促し、最終的に非核化を実現することも一案である。米国が我が国の安全に十分な注意を払わずに奇襲攻撃に出ることが無いよう、米国の多くの階層において密接な協議を推進しコンセンサスを得ることが肝要である。いずれにせよ今年は我が国の安全保障にとり、そして自由世界の存続にとり、正念場の年である。
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