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2018-11-01 10:00

日中 「第三国でのインフラ開発協力」は経済原則に則って

四方 立夫  エコノミスト
 「日中新時代へ3原則」が確認され日中関係が改善の方向に向かいつつあるかのように見える。しかしながら、今回の「日中関係改善」は1978年の「日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約」の時とは異なり同床異夢である。中国の意図はあくまで中国主導の「一帯一路」並びに「中国製造2025」の推進であり、そのために日本の技術、資金、評価を利用しようとするものに他ならない。その中心となる「第三国でのインフラ開発協力の推進」は、我が国の民間企業が主体となるものであり、あくまで経済原則に則り「前のめり」になることなく是々非々で実行されなければならない。特に以下の点が担保されていることが必須である。

 1.昨年秋の中国共産党大会において「外国の民間企業を含む全ての在中国企業は共産党の指導に服する」旨を定款に記載しなけれならないことが決定されたが、第三国での日中合弁企業においてはかかる共産党の影響を排除し、あくまでコマーシャルベースの契約に基くものであること。
 2.合弁会社のビジネス上並びに技術上の機密は保持されること。
 3.日本の民間企業の目的はあくまで営利あり、合弁会社が当初計画された収益を上げることが困難であると判断した場合、当初の契約に則り政治的配慮無しに速やかに撤退できること。
 4.日中両企業間で係争が生じた場合は、契約書に記載の準拠法並びに仲裁裁判所の決定に従うこと。

 これに加え、出来る限り現地企業の合弁企業への参加を促し、日本企業と現地企業の合計の議決権比率が中国のそれを上回ることも肝要である。中国は国内経済において過剰債務(特にシャドーバンキングに多く散見される簿外債務)、合併により肥大化した国有「ゾンビ企業」の経営効率の低下など深刻な問題を抱え、「市場経済VS独裁体制」の本質的な矛盾が拡大する中、海外での事業展開においてもその矛盾が露呈し、「受恵国」において反発が強まっている。

 現在我が国はTPP11に合意しさらにこの拡大を図り、将来的には米国の復帰を目指すと共に、RCEPの合意に向けて鋭意交渉中であるが、段階的に中国を自由主義経済の高い水準に近づかせ、最終的にはTPP並みの高度なFTAAPを目指すべきである。日中「第三国でのインフラ開発協力」もその長期目標に沿って、日本の民間企業が主導的役割を果たし中国企業を高いレベルに導いていくことが求められている。
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