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2019-03-13 09:56

6月決着遠のく日露平和条約締結問題

飯島 一孝 ジャーナリスト
 河野太郎外相とラブロフ露外相との会談は2月16日(日本時間17日)、ドイツ・ミュンヘンで行われたが、北方領土をめぐる日露平和条約締結問題で平行線をたどり、進展はなかった。このため、日本政府が目指す6月決着は遠のいた。日本とロシアのメディアによると、会談後の会見でラブロフ外相はこれまで通り、「北方領土がロシアの主権下にあると認めることが平和条約締結の絶対条件だ」と繰り返した。さらに、平和条約締結の見通しについて「ロシアは交渉に一切の期限を設けていない」と述べ、日本側が考えている6月の日露首脳会談での決着説を否定した。

 一方、河野外相は会見で「協議の着実な前進」を強調したが、主権をめぐる交渉は平行線で、隔たりが埋まらなかったことを認めた。タス通信によると、河野外相は「平和条約締結問題はすぐには解決しない」と発言、6月決着が難しいことを暗に認めたという。ただ、平和条約問題に関する日露の外務次官協議や外相会談はこれまでの予定通り行われるとし、次回の外相会談は日本で今春開かれる見通しだ。とはいえ、米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約が停止され、両国の間で緊張が高まりつつあり、6月までに国際情勢が好転するとは考えにくい。

 さらに、日本政府が北方領土問題でロシアに対する矛先を緩めようと、北方領土返還要求全国大会で「不法占拠された」という表現を使わないなどの小細工を弄しても、ロシア側の厳しい姿勢は変わっていない。こういう情勢では6月の日露首脳会談で急遽双方が合意することは考えられない。日本政府も解決を急がず、これまでの交渉を見直し、国家百年の計という観点から交渉方針を改めるべきではないだろうか。少なくとも安倍首相の任期内に解決しよう、などという姑息な考えは改めるべきだ。状況を先取りして臨機応変に対応する手腕が、今こそ求められている。
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