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2019-06-03 10:10

オバマに代わる指導者不在の米民主党

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員
 最近米国で行われた興味深い世論調査の結果をご紹介します。「民主党を最もよく代表する政治家は誰だと思いますか(民主党を最もよく象徴する政治家は誰だと思いますか)」という質問に対して、「バラク・オバマ前大統領です」と答えた人が最も多かったということです。

 バラク・オバマ前大統領と答えたのは、有権者全体で35%、民主党支持者に限ると51%という結果が出ました。オバマに続くのがバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)、ジョー・バイデン前副大統領、連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)という順番になりました。興味深いのは、今回の世論調査の選択肢にヒラリー・クリントンが入っていないことです。そして、民主党支持者の中で、5名から名前を選ばなかったのは6%しかいなかったということです。

 有権者全体では23%が誰も選ばなかったのは、民主党嫌いの人が多く、そんなことは考えたくもないということも多かったのでしょう。民主党の中で、ヒラリー・クリントン、もしくはヒラリーに近い人々を支持する人たちは減っていることが分かります。また同時に、バーニー・サンダースとアレクサンドリア・オカシオ=コルテスのような進歩主義派、リベラル左派を支持する人たちは足しても2割程度だということになります。民主党自体が左傾化しているということが言われていますが、進歩主義派、リベラル左派はまだ少数派ということになります。

 今でもオバマ前大統領が民主党、民主党支持者に大きな影響を与えている、ということは、民主党は2016年から新しい指導者を生み出せないままでいる、ということです。バイデンが大統領選挙民主党予備選挙についての世論調査でトップに来るのは、彼自身の魅力というよりも、オバマ時代を懐かしむノスタルジーでしかありません。保護貿易や公共投資といった民主党の諸政策を実行しているのは、ドナルド・トランプ大統領(元民主党員)です。トランプ大統領に対する新しい対抗軸を生み出し、新しい指導者となるべき政治家を生み出せないままです。このままでは、2020年の大統領選挙でトランプ大統領の再選を止めることはできないでしょう。
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