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2019-11-17 18:50

令和「新憲法」を採択しよう

松井 啓 初代駐カザフスタン大使
 2019年で敗戦から74年が経過した。11月9日はベルリンの壁が崩壊してから30周年記念日であり、1991年にはソ連が崩壊して東西冷戦構造が終焉した。11月10日午後、秋晴れの空の下、皇居・宮殿から赤阪御所までの約4.5キロをオープンカーで行われた祝賀御列の儀パレードの沿道は11万5千人の国民により埋め尽くされ、新天皇皇后両陛下は笑顔で祝意をお受けになられた。55年前、戦後日本が国家の威信をかけて開催した東京オリンピックは55年前の1964年10月であり、明年2020年8月には東京オリ・パラ大会が開催される。この東京大会を契機として新しい日本、品格のある国、家族を大切にする国、美しい自然に恵まれた国、国際社会に貢献して責任ある地位を築いていくべきである。そのためには激しく変動しつつある国際社会に対応できる独立主権国家としての日本国憲法を抜本的に作り直さなければならない。

 現行日本国憲法は米国占領下の1946年11月3日に公布され翌年1947年5月3日に施行された。日本は1952年に独立したにもかかわらず占領下で作られた「昭和憲法」をそのまま継承し、その後奇跡的な経済発展を遂げたが、平成の時代になり経済成長は低下し、少子高齢化、教育方針の混迷、災害大国としてのインフラの不備等が目立ち始めている。その間、中国の台頭は目覚ましく、習近平中国主席は、中国製造2025年政策を打ち出し、独立100周年の2049年には世界の超大国となると表明し、主席の任期を無期限とする憲法改正を行い、一帯一路、軍備拡充、海洋進出、先端技術開発を推進している。2010年5月ワシントンでの第2回米中戦略・経済対話で、中国側は中米2国による新型大国関係(G2)を打診した。

 米国は遅まきながら対抗措置を講じ始め、米中間の貿易戦争、覇権争いは激化している。オバマ大統領は既に2013年に米国の「世界の警察官」の役割放棄を表明し、米国の世論調査では米国民が益々内向き志向になってきている。トランプ大統領下のアメリカは、アメリカ第一主義、偉大なアメリカの復興、モンロー主義(米国孤立主義)を標榜し、自由貿易協定(G12)協議からの離脱、地球環境保護のパリ協定からの離脱等を打ち出しており、国際機関や同盟国との協力には消極的である。米国を良く知っている英仏は、米国が核攻撃を受ける可能性がある時に他国のために核を使うことは期待できないと見ている。さすれば、トランプ大統領は米本土攻撃への報復以外の理由で核兵器を使用することはないであろう。既にトランプ大統領は日米同盟は米国に不利であるとしてその片務性に不満を表明している。

 かかる状況下で尖閣諸島有事、朝鮮半島有事、台湾有事の際に日本はどう対処するのか。一国平和主義の夢をいつまでも見ているわけにはいかない。新しい時代に適合した新しい憲法を制定することは喫緊の課題である。成長が鈍化したとはいえGDP世界第3位の経済大国である日本が自国憲法に自衛のための軍隊に関する明確な規定を持たないことは奇形児的ですらある。木を見て森を見ない改憲議論(加憲、改悪、護憲等)から脱却して、2千年以上に及ぶ日本国の歴史に基づく国家の在り方、天皇の地位、国防、国会の制度、教育や社会保障等につき、先の大戦を体験し記憶している高齢者(戦前世代)、経済高度成時代の世代、停滞の平成世代を含め、幅広く議論を展開し、戦争終結の1945年から77年目の年(喜寿)となる2022年5月3日を目標に令和「新憲法」を採択、施行することを提案する。
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