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2020-05-22 22:14

続・数字で見るわが国のコロナ感染状況

坂本 正弘 日本国際フォーラム上席研究員

 筆者は、本年5月以降の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国内感染状況を日別に整理し、感染状況がターニング・ポイントを迎えたと思われた同月9日に、それまでの変遷を数字で一覧にした上、グラフに示した(e-論壇「百花斉放」2020年5月9日付)。その後、約10日が経過したが、9日時点で指摘した傾向が確実なものと確認されたため、今回、改めて5月20日までの感染状況をまとめたところ、下記一覧とグラフのとおりとなった。

 幸いにして、9日時点で指摘していたことがおおむね的を得ていたことが実際のデータで裏付けられたかたちとなった。とくに、10日に新規感染者数が3桁を割って以降、その数は明確に減少しつづけた一方、回復者の数は、一日に最低でも166人、多い日には1,000人に迫ろうとする勢いで増加している点が非常に重要である。また入院者数も、20日時点で3,033人となり、一時の1万人を超えた状況からその3割にまで減少したことになる。これらの数字が意味するところは、逼迫していた医療現場のキャパシティが大幅に改善したということだ。下記のグラフから感覚的に掴んでいただけると思うが、5月以降日本の新型コロナウイルス感染症のパンデミックはほぼ完全に抑制されるとともに、医療崩壊は回避され、入院者への加療が適切に機能していることがわかる。

 ただ統計的にそうだということはいえても、なぜそうなったのかということは必ずしも明らかではない。実際に、欧米では日本が新型コロナウイルスをコントロールしつつあることに対して、これといった対策は見られないなか、「奇妙である」との評価が広がっている。当の日本政府もなぜ自国のコロナ対策が功を奏しているのか、医学的に充分に説明できていない。

 これは裏を返せば、これまでの感染抑止の「成功」体験を理論化しえない以上、現下の収束傾向をくつがえす感染拡大の第二の波、第三の波が発生した場合に、何かの条件が異なることで、現在のような感染抑止をまったく再現できないおそれがあるということだ。当初の医療崩壊の危機は乗り切ったとはいえ、安心するのは時期尚早である。

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