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2020-12-22 22:19

(連載1)タイ運河建設計画と中印安保環境の今

古村 治彦 愛知大学国際問題研究所客員研究員

 『フォーリン・ポリシー』誌2020年9月1日掲載の記事、「インドと中国との争いの次の最前線はタイ運河となるだろう(The Next Front in the India-China Conflict Could Be a Thai Canal)」(サルヴァトーレ・バボーンズ筆)で、タイ南部に建設計画があるタイ運河に関する論考が掲載されていた。タイ南部半島部の一番狭い地峡(ちきょう)に2本の運河を建設するというものだ。これによって、現在、マラッカ海峡に集中している海運が分散されることになる。この運河が開通すると、日本や朝鮮半島、中国に向かう航路がだいぶ短縮されることにもなる。

 このタイの運河を中国の戦略から見れば、「真珠の首飾り(String of Pearls)」と呼ばれる、「インド包囲網」計画と「一帯一路」構想における海上インフラ計画において重要な役割を果たすことになる。

 中国は東南アジア地域に勢力を伸ばしつつあり、この運河の建設計画もその戦略の一環なわけだが、インドはチョークポイントをバイパスする新たなメガインフラプロジェクトが中国主導で進んでいることを警戒している。この運河によって中国はインド洋へのアクセスが飛躍的に容易になるからだ。

 中国が海洋国家としてインド洋にも進出しようとしていることは、すでに中国と長年小競り合いを繰り広げているインドにとって深刻な意味を持つ。また、西方に目を向ければ、アフリカ東部地域には既に中国から多額の資金が投じられており、アフリカ諸国は中国の影響下に入っている。「真珠の首飾り」計画の地図を見ると、インド包囲網計画は進んでいるようである。(つづく)

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