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2007-09-13 14:31

石油争奪戦争状態に入っている世界の現実を直視せよ

近藤 哲次  公務員
 私の投稿「今やピークアウトした石油生産」に対する、9月13日付けの小倉正氏の「避けるべきは思考停止」を拝読しました。

 小倉氏は「石油増進回収はストックの限界に対する緩和策」であり、「どんどん進められて不思議はない対策」としています。しかし(1)石油増進回収は生産ピークを後期にシフトさせますが、これは問題の先送りに過ぎないばかりか、(2)早期からの増進回収は、結果として採掘できる総量の減少を招き、また(3)需要圧力にまかせての無理な増産は、ピークアウト後の減耗曲線を急峻にし、ソフト・ランディングをめざす全ての努力に逆行する、と思われます。石油増進回収を是とする小倉氏ですが、同時に主張する「パワー・ダウン戦略」と、そもそも矛盾するようにもみえるのですが、いかがなものでしょう。

 オリジナルのピークオイル論において、ハバート曲線 (石油生産曲線) がベルカーブを描くというのは、一次回収による生産を前提としたもので、強力な増進回収した場合には当てはまらなくなり、後半はとんがり帽子型の、急峻な減耗曲線を辿ることになるのではないのでしょうか。需給ギャップは苛烈に、変化は急激になり、その結果危機はいっそう深まることが推察されます。

 また小倉氏は、私が「できることは何もない、という諦観を結論に据え」ているとしていますが、そもそもグローバルな資本の運動を人類は制御できるものではない、とのリアルな認識が私にはあります。また石油をめぐっては、世界はすでに争奪戦争状態に入っているのではないでしょうか。「Oil Depletion Protocol のような国際協調の道」を模索するという小倉氏は、この点ややナイーブに過ぎるのではないのでしょうか。

 この国の為政者には飢饉の回避にむけた努力を火急の課題として一応は期待しますが、その期待が裏切られたときの結果がいかなるものになるか、読者には注意と想像を喚起したかったものです
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