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2021-04-22 22:30

(連載1)日本の民主主義は大丈夫だろうか? ー新型コロナウィルス感染現象を追うー

畑 武志 神戸大学名誉教授
 新型コロナへの対応を通して、日本の民主主義の実力を測ろうとしてきたが、早期の問題解決へと向かうよりは、現状はなおはなはだもどかしい状態が続いている。問題の本質を見抜く識者らの声が政治にも、それを動かすマスコミにも届かない現実は、民主主義の欠陥に繋がる現象であるかもしれない。
 
 ファイザー社のワクチンはその後国民的期待を担って接種が進行しているが、一方で米国CDC(疾病予防管理センター)に集まっている副反応に関する膨大なデータが、何故か日本では十分に取り上げられていない現状がある。即ち、米国における副反応データ収集法に関する3本柱の一つCDCのVERS(ワクチン副反応報告システム)には、今回のCOVIDワクチンについても発生した副反応の結果が集まってきている。

 それらには、昨年12月14日以降前週の木曜までのデータが、詳しい発生状況を記載した個別事項と共に毎週公表されている。その内容は日本と比較すれば驚異的ともいえる水準にある。最新の資料では本年4月8日までの米国でのCOVIDワクチン➀1億7490万回の接種に対して68,347件の副反応が報告され、うち➁重症者が8,285人、➂死者が2,602人(➂/➀=0.0000149人/接種)と報告されている。毎週増え続けるこれらの数値は驚くべき数であり、決して無視できるものではなく、毎日新聞社にも伝えてはいるが、日本で取り上げられているのを知らない。公式発表では副反応はごくまれに起こるだけで、症状も重くないことが報告されるだけである。
 
 米国で広く公表されているデータが伝えられないということはどういうことなのだろうか。ワクチンの安全に係るデータとして、個々の事例について詳しい報告がなされ、特に死亡事例については担当医師による詳細データが表記され、誰でも確認できるようにCDC関連ページで公開されている。日本でもこのようなデータの作成が議論され、ワクチン接種記録システム(VRS)が動き始めているが、今後どのように充実されていくか期待される。国民の健康に関わる重要事項であり、マスコミもワクチン配布の遅れを叩く前に、これらの関係データの分析をし、内容を国民に知らせるべきではないだろうか。アメリカでのファイザー社等のワクチン接種による死亡者数の比率は、上述データから1.49人/10万接種となる。この数値は、米国民のコロナ死者数の人口比率171人/10万人(❸アメリカコロナ死者数568,950人 、❶人口332,915,074人、❸/❶=0.0017090))と、個々人の死の重みを顧みず単純比較するなら、かなり小さい値と言えるかもしれないが、日本のコロナ死者数の人口比率7.79人/10万人と比較した場合は、果たしてそのような見方が許されるだろうか。井上正康大阪市大名誉教授やファイザー社の前副社長でこの分野の専門家であるMike Yeadon博士らが主張されるように、弱毒のコロナウィルス感染により既に集団免疫が達成されているとの議論があるが、今後もこのような議論が深められて、ワクチンに関してもより多くのデータが提供されることが望まれる。米国の緊急使用許可(EUA)によって通常行われる動物実験も省略して人体への直接接種が行われているため、国民が知らなければならないことは多い。(つづく)
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